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【スポーツ】

平昌での輝き、エッジで後押し 国内シェア100% 上越の町工場

クラックド・エッジの見本。等間隔に切り込みを刻むことで板のスムーズなしなりを生み出すという

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 スキーやスノーボードなどで裏側の縁に取り付けられる「エッジ」。板の操作性を高めるのに欠かせないこの金具の国内シェア100%を誇る製造会社が、新潟県にある。「打江(うちえ)製作所」(上越市)は、スキー産業の衰退や職人の高齢化問題と向き合いながら、平昌五輪に挑む選手たちを陰で支える。 (上條憲也)

 1911年にオーストリア・ハンガリー帝国のレルヒ少佐が日本人にスキーを伝えた上越市。日本のスキー発祥の地にある社員役員12人の打江製作所は、国内のスキー板メーカー6社ほどと取引がある。打江寿和社長(70)によると、エッジ製造を手がけるのは現在、国内では同製作所だけで、世界的にも他に欧州に2社しかない。

 米どころの新潟で1960年、農耕機具メーカーとして創業。80年代のスキーブームに乗じ、金属を扱う技術を生かしてエッジ製造に進出。当時は同業者も増えた。だがブームの陰りや、進化する金属の材質に対応できる技術力も限られて徐々に減り、20年ほど前から一手に引き受けるようになったという。

 ただ苦労もある。「独占で左うちわと言われるが、そんなことはない」。スキー市場の浮き沈みは製造量に直結し、最盛期の5分の1ほどに減った。「スキー人気が下がればうちも下がるしかない」。社員も減り、現在は50、60代が中心という。

「苦労するほど魅力ある市場じゃないけど辞めるわけにいかない」と話す打江社長=新潟県上越市で

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 だが打江社長は「工場を閉じる選択肢はない」。板メーカーなどからの信頼は大きく、とくに等間隔に切り込みを刻んだ「クラックド・エッジ」は、斜面のこぶに沿ったスムーズな板のしなりを生みだすため、メーカーから重宝される。このエッジを使う板メーカーのマテリアルスポーツ(大阪)と契約するモーグル男子の平昌五輪代表、堀島行真(中京大)は「滑りがマイルドになる」と太鼓判を押す。同社の藤本誠社長(59)は「ないと困る」と大きな信頼を寄せる。

 打江社長にとって、自社製品を使った板を使う選手の活躍は何よりの刺激。前回ソチ五輪では、マテリアルスポーツと契約するモーグル女子の上村愛子選手が五大会連続の入賞を果たした。「テレビを見て、うちのエッジを使っていると分かる」。平昌五輪開幕まであと10日。選手らの活躍を心から期待している。

 

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