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【スポーツ】

ボクシング元王者・山中さん引退会見 貫き通したワンツー

引退記者会見を終え、笑顔でポーズをとる元WBCバンタム級王者の山中慎介さん=東京都内のホテルで

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 元世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級王者で日本歴代2位の世界王座12連続防衛を果たした山中慎介さん(35)が26日、東京都内で引退記者会見し「寂しい気持ちはあるが、今まで本当によくやってきたなと自分自身に言ってあげたい。12度も防衛でき、目標よりはるか上にいけて満足」と笑顔で語った。

 山中さんは南京都高(現京都広学館高)、専大を経て2006年1月プロデビュー。11年11月に世界王座を獲得し、昨年8月にルイス・ネリ(メキシコ)に敗れるまで守った。戦績は31戦27勝(19KO)2敗2分け。強敵を沈めてきた左ストレートは「神の左」と称された。

 体重超過で王座剥奪となったネリに2回TKO負けした1日の試合が最後となった。今後の活動は未定とし「経験を生かして何事にも挑戦していきたい」と話した。

◆「来る」と分かっても食らう「神の左」

 右ジャブから左ストレートをこれでもかと放つ。ボクシングで最初に習うワンツーで世界を生き抜いてきた。対戦相手は「左が来る」と分かっていても、予想以上に伸びてくるストレートを食らってしまう。ボクシングの醍醐味(だいごみ)を体現する王者だった。

 帝拳の浜田剛史代表は「こんな王者は他にいない」と語り、山中さんは「歴代王者の中でもトップクラスの引き出しの少なさ」と苦笑い。「でも、自分を信じて日々左ストレートを練習してきた」。貫き通したスタイルに胸を張る。

 デビュー8戦目までは6勝2KO2分け。パンチ力はあるが、倒しきれない。練習では鋭い踏み込みと同時に、左手を肩から真っすぐに伸ばす素早いストレートを何度も繰り返した。どこまでも基本に忠実だった。「一生懸命努力してキャリア中盤に成果がでてきた」。9連続KOで世界王座へと駆け上がった。

 「神の左」と名付けたのは山中さんの後援会だった。当初は「大げさすぎるのでは」と反論もあったという。だが、2度目の防衛戦となるトマス・ロハス(メキシコ)戦で、生涯ベストパンチを放ち、失神KO勝ち。「神の左」は山中さんの代名詞となっていった。

 「あれがあったから、常にこれくらいのKOをしてやろうと練習できた。神の左の言葉に恥じないような試合をしてこられたと思う」。世界戦13勝のうち9KOは光り輝く。

 プロ生活12年。記録にも記憶にも残る名王者がグローブを置く。「全てやり切った。一日一日の練習時間を大切にして、試合前までやれることをやって、自分に勝てた。努力できたのが一番だと思う」。そう語る表情はすがすがしい。引退会見を終えても、しばらく会場の拍手は鳴りやまなかった。 (森合正範)

 

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