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【スポーツ】

比嘉、体重超過で王座剥奪 世界戦、日本選手で初

1回目の計量をオーバーしたWBCフライ級王者の比嘉大吾(左)と、声をかける具志堅用高会長=東京・飯田橋のホテルグランドパレスで

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 ダブル世界戦(15日・横浜アリーナ)の前日計量が14日、東京都内で行われ、世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王者の村田諒太(帝拳)はリミットの72・5キロ、挑戦者エマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア)は72・3キロでともに1度目でパスした。初防衛戦の村田は「これで15戦目なので(調整は)慣れている。倒したい欲を抑えて焦らないこと」と穏やかな表情で語った。

 世界ボクシング評議会(WBC)フライ級王者の比嘉大吾(白井・具志堅スポーツ)は1度目でリミットの50・8キロを超える51・7キロ。再計量はせず、3度目の防衛戦を前に体重超過で王座剥奪となった。日本ボクシングコミッション(JBC)によると、日本選手の世界戦での計量失敗は初めて。JBCの安河内剛事務局長は長期出場停止を含めた厳罰を検討する方針を示した。具志堅用高会長は「重大なことが起こって本当に申し訳ありません」と頭を下げた。

 対戦相手のクリストファー・ロサレス(ニカラグア)は50・5キロで一発クリア。15日の当日計量などを経て開催が決まる試合は、比嘉が勝つか引き分けると王座は空位のまま、ロサレスが勝てば新王者となる。比嘉がKOで勝てば、16試合連続KO勝利の日本新記録として認められる。

◆信用失墜 適正階級見きわめを

 世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級元王者の山中慎介との再戦を控えたルイス・ネリ(メキシコ)が体重超過で王座を剥奪されてから1カ月あまり。今度は日本人世界王者の比嘉が計量に失敗した。再計量の猶予となる2時間まで30分を残し、ギブアップ。1度目の計量後、体からは汗ひとつ出なかったという。関係者は「比嘉はこれ以上絞れない。もう無理」と漏らした。

 「減量は最低限の仕事」と言われ、しかも全ボクサーの模範となるべき世界王者の失態は「プロ失格」と批判されても仕方がない。試合が挙行され、たとえ日本新記録の16連続KO勝利をマークしても価値はないだろう。

 近年、海外だけでなく、日本人選手の計量オーバーが目立つ。減量方法が多様化し、「水抜き」と呼ばれる試合2、3日前から水分を抜き、急激に体重を落とす調整法で失敗する選手もいる。

 また、一般的に下の階級で闘えば、相手のパンチは軽くなり、体格差も生かせる。メリットは大きく、過度な減量をする選手も多い。ここで適正階級とのずれが生じる。

 比嘉は上半身の筋肉が大きく、毎試合10キロ以上落としてきた。前戦の調整中には減量の影響で脚がけいれんし、今回も脱水症状がみられたという。フライ級が限界なのは明白。にもかかわらず「これまで同様なんとかなるのでは」と本人は節制面で、陣営は管理面で厳しさを欠いていた。

 過酷な減量は健康面に不安を残す。計量失敗なら、対戦相手やチケットを購入したファンを裏切り、階級制スポーツの信用を失墜させる。ボクサーはプロの自覚を。陣営は選手の管理と適正階級の見きわめを。これを機に、より真摯(しんし)に向き合わなくてはならない。 

  (森合正範)

 

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