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【スポーツ】

稀勢、苦渋の7場所連続休場 横綱最長16年ぶり

 大相撲の東横綱稀勢の里(31)=本名萩原寛、茨城県出身、田子ノ浦部屋=が夏場所(13日初日・両国国技館)を左大胸筋のけがにより休場することが11日、決まった。横綱の7場所連続休場は、年6場所制となった1958年以降では貴乃花と並んで最長で16年ぶり。

 稀勢の里は相撲協会に「左大胸筋痛で約1カ月激しい運動を制限する」との診断書を提出。師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は「何とかもう一度、強い横綱として出てくれるように一生懸命頑張っていきたい」と涙ながらに話した。

 稀勢の里は3月の春場所も全休。4月の春巡業に途中から参加したが、今月3日の横綱審議委員会による稽古総見で精彩を欠くなど調整面が不安視されていた。昨年1月の初場所後に日本出身で19年ぶりの新横綱となった稀勢の里は翌場所で左上腕などを負傷して以降、故障が続出。在位8場所目で皆勤は1場所しかない。

 また同部屋の東大関高安(28)=本名高安晃、茨城県出身=も「左上腕三角筋部分断裂で3週間の安静加療必要」との診断書を提出し、3場所ぶり4度目の休場が決まった。

◆持ち前の力強さ戻らず 西岩親方「下半身一から鍛えて」

 時間をかけて復調への道を探ったにもかかわらず、初日の土俵にすらたどり着かなかった。田子ノ浦親方が「苦渋の選択」と言う初日からの休場を決めざるを得ないほど、稀勢の里の現状は厳しい。

 休んだ連続7場所のうち、4場所は途中休場。出場にこだわり、中途半端な状態で土俵に上がっては負けが込んで土俵を離れた。3月の春場所は同じパターンを繰り返すまいと初日から全休したが、それから2カ月たっても持ち前の力強さは戻らなかった。

 左胸や左上腕部のけがが長引いて生命線だった左からの攻めが使えず、場所前の稽古では受け身の相撲ばかり。元小結で解説者の舞の海秀平さんは「どういう相撲を組み立てたらいいか、分からずに苦しんでいる。けがから相撲が崩れてしまった」と指摘する。

 田子ノ浦親方は「本人もけがだけではないと分かっていると思う」と明かした。長く離れている本場所の土俵に戻るには、けがを癒やすだけでなく崩れた相撲を立て直す必要がある。

 新弟子時代から稀勢の里を見てきた兄弟子の西岩親方(元関脇若の里)は「下半身を一から鍛えるしかない。そうやって強くなってきた力士だから、基本からやり直していかないと」とエールを送る。休場が続く間に衰えが見て取れる下半身を、四股やすり足で鍛えて馬力を取り戻す必要があるという。

 横綱審議委員会の北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は夏場所の休場を受けて「体調不十分であればやむをえない。覚悟を持って次場所に備えてほしい」とこれまでになく強い言葉で奮起を促した。

 思い描く相撲が取れない現状と向き合い、7月の名古屋場所までに土台から体をつくり直さなければ、休場を繰り返す悪い流れは断ち切れない。絶大な人気を誇る横綱が迎えた相撲人生の土俵際。粘り腰を見せる底力は残っているだろうか。 (海老名徳馬)

 

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