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【スポーツ】

栃ノ心13勝 喜びと悔しさ 大けが経験 基本の大切さ学ぶ

◇大相撲夏場所<千秋楽>

 横綱鶴竜は横綱白鵬を寄り切り、14勝1敗として自身初めて2場所連続で制し、5度目の優勝を果たした。白鵬は11勝4敗。大関昇進が事実上決定した関脇栃ノ心は平幕の勢を寄り切り、13勝目を挙げた。ジョージア出身初、欧州3人目の大関となる。6度目の敢闘賞と3度目の技能賞も獲得。 

 小結御嶽海は関脇逸ノ城を押し出して9勝目。逸ノ城は8勝7敗だった。平幕玉鷲は勝ち越しを決め、来場所での三役復帰を確実にした。

 12勝をマークした千代の国と新入幕で10勝を挙げた旭大星がともに初の三賞となる敢闘賞を受賞。松鳳山が初の殊勲賞に輝いた。

 十両は12勝3敗で阿武咲が優勝。

 表彰式では優勝した鶴竜、敢闘賞と技能賞を獲得した栃ノ心、殊勲賞の松鳳山、敢闘賞の千代の国と旭大星に中日新聞社(東京新聞、東京中日スポーツ)の水野和伸専務取締役東京本社代表から記念の盾と金一封が贈られた。次の名古屋場所は7月8日にドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)で初日を迎える。

   ◇

 栃ノ心は鶴竜の優勝を土俵下で見届けた。「どきどきしながら見ていた。12連勝して優勝できなかったのは残念」。まずあふれたのは終盤に崩れて2度目の賜杯を逃した悔しさ。大関への昇進は「まだ分からない。うれしいけどね」と喜びは控えめだった。

 自分の相撲では、2連敗する前の力強さを取り戻した。突き押しで攻め込んで勢を右四つに組み止めて寄り切り。技能賞に加えて、この日の白星が条件だった敢闘賞の獲得も決めた。通算11個目の三賞には「いくつあってもいい」とようやく笑みを浮かべた。

 最近の栃ノ心は、稽古で若い衆によく声をかけるようになったという。けがをしないためにはどんな取り口を磨くべきか。四股やすり足といった基本の大切さ。春日野部屋付きの岩友親方(元幕内木村山)は「若い衆に言うのは、イコール自分に言い聞かせること」と説明する。

 30歳を超えても稽古熱心。大けがを乗り越えた経験がそうさせる。2013年の名古屋場所で右膝前十字と内側側副靱帯(じんたい)を断裂。2度の手術に2カ月の入院、4場所連続で休場した。

 「何度もやめようと思った」と苦しんだが、地道なトレーニングで右脚が力を取り戻すにつれて「気持ちが少しずつ戻った」。けがの怖さに、基本を積み重ねる大切さ。身に染みている思いを、後輩に丁寧に言い聞かせる。

 岩友親方は「けががなければ今ごろ引退していたかもしれない」と振り返る。一から体をつくり直し、かつて以上の力強さを身に付けてきた。

 大関になっても「負けたらだめ、と思ったら負ける。いつも通りにやる」と栃ノ心。気負わずとも、けがを乗り越えた強さは揺らがない。昇進すれば国技館の地下駐車場を使えるようになるが、今と同様に「歩いてくるよ」。これまで通りを貫いて、自分なりの大関像を追い求めていく。 (海老名徳馬)

 ◇ 

 栃ノ心が大関昇進をつかんだ。来日して12年。大きな目標にたどりついた道のりには、天性の力強さを持つ体に加えて、心を磨き続けて勝ち取った気持ちの強さがあった。

 

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