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【スポーツ】

阿炎、恩返し金星

◇大相撲名古屋場所<5日目>

 一人横綱の鶴竜は平幕の阿炎に突き出されて2連敗。3勝2敗となった。阿炎は2場所連続2個目の金星獲得。新大関栃ノ心は平幕の琴奨菊を寄り切って5連勝とした。

 かど番の2大関はともに勝利。高安は勢をはたき込んで4勝目を挙げ、豪栄道は千代の国を寄り切って白星先行。関脇御嶽海は小結松鳳山を押し出して5戦全勝とした。

 勝ちっ放しは栃ノ心、御嶽海の2人。1敗は高安のほか、平幕の魁聖、遠藤ら7人となった。

◆元付け人に引き 鶴竜連敗

 8秒間、押して押して押し続けた。阿炎は「横綱を追い掛けることだけ」と無我夢中だった。後退しても下から上へと突き続け、ついに浮き上がった鶴竜の上体。一気に足を前に運び、盛り返したところで渾身(こんしん)のもろ手突きを2発。気づけば「すごい大きい人」と語る恩人が、土俵を割っていた。

 景色を見上げたら座布団が顔面を直撃した。先場所の白鵬戦に続く2度目の金星は特別な相手。「幕下のころからの夢だった」。花道を過ぎると、涙を抑えられなかった。

 3年前の春場所で弱冠20歳で新十両になったが、4場所で陥落。幕下でも6連敗を喫するなど「もう俺は駄目だ。終わった」と腐った。

 一昨年の秋、見かねた師匠の錣山親方(元関脇寺尾)の計らいで、当時同じ一門に所属していた鶴竜の付け人になった。「別の人間。レベルが違う」と最初は学べるものはないと思っていたが、浅はかだった。

 横綱は負けた時も決して付け人に当たらず、記者の厳しい質問にも丁寧に答える。力だけでなく、心も強かった。「見習えば、また上に戻れるんじゃないかと、バカなりに考えた」。それから1年弱で十両に戻り、一気に番付を駆け上がった。

 今場所前も鶴竜のアドバイスで腕立て伏せを1日300回続け、パワーアップ。金星を配給した横綱は「恩返しをされたか」という問いに「そんな感じですね」と後輩の成長を受け止めた。「感謝しかないです。正座してしまいます」と阿炎。支度部屋ではもう涙を見せまいと、必死の冗談で取り繕った。 (原田遼)

 

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