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【スポーツ】

<東京五輪への伝言>(上)暑さ対策 2年後へ 失敗も財産

男子50キロ競歩で、給水所で頭から水をかぶる勝木隼人=8月30日、ジャカルタで(榎戸直紀撮影)

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 2020年東京五輪の前哨戦と位置付けたジャカルタ・アジア大会が2日に閉幕した。日本選手団は前回大会の47個を大きく上回る75個の金メダルを獲得。2年後にはずみがつく好成績といえるが、その舞台裏で見えた成果や課題に迫る。

 晴天続きのジャカルタは東京に似た高温多湿。屋外で長時間行われる陸上のマラソン、競歩は2年後に向けた絶好の舞台だった。マラソン・長距離担当の河野匡コーチは「どう体を冷やすか。(レース中に)対応するか。いろいろ工夫して、大きな財産になった」と手応えを口にした。

 男子マラソンの井上大仁(MHPS)は風通しをよくするため、ユニホームに穴を開けた。給水地点では保冷剤も用意。しばらく握りながら走った。対策が実り、日本勢で32年ぶりの金メダルへとつながった。しかし、まだ体温が上がっていなかった10キロ地点では、むしろ体が冷えてしまい、足がつりそうになったという。「これも経験だと思う。いろいろと分析して、次に生かせればいい」。何が効果的で、何が不要か。貴重なシミュレーションとなった。

 男子50キロ競歩で金メダルの勝木隼人(自衛隊)は井上と同じく穴の開いたユニホームで4時間以上歩いた。2キロごとの給水では毎回のように帽子を交換。その中には氷を入れてもらっていたという。「脳の温度を上げないように。明らかに効果があった」

 また、高温多湿な環境に体を慣らす「暑熱順化」も功を奏した。涼しい場所で質の高い練習を積み、レース1週間〜10日前に暑い場所に移動して体を慣らすのが一般的。だが、勝木は「暑い所で練習しないと本番は歩けないと思った。僕なりのやり方でやらせてもらった」。3週間前に合宿を切り上げ、早めに拠点の埼玉県朝霞市に戻り、本番と似た暑さとなる環境に身を置いた。

 一方、女子20キロ競歩で銅メダルの岡田久美子(ビックカメラ)は定石通り、レース10日前まで北海道千歳市で合宿を行った。ところが、本番では暑さに対応できなかった。「北海道の暑さの質が違い、練習通りにいかなかった。(暑い所に)戻って10日だと順化できない」。経験したからこそ、分かったことだった。

 本来は冬に多いレースを夏に経験できた。競歩担当の今村文男コーチは「暑さ対策に正解はない。選手それぞれによって全然違う。自分に合った対策を見つけることが大切」と話す。失敗もまた財産。東京五輪の糧となれば大きな収穫といえる。

 

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