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【スポーツ】

新井が連覇 女子70キロ 柔道世界選手権

女子70キロ級決勝フランスのマリエーブ・ガイーを破って連覇を果たし、感極まる新井千鶴=バクーで(共同)

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 【バクー=共同】世界選手権第5日は24日、当地で男女各1階級が行われ、女子70キロ級で新井千鶴(三井住友海上)が決勝でマリエーブ・ガイー(フランス)に一本勝ちし、2連覇を果たした。同級の日本勢による2連覇は隔年開催だった2001、03年の上野雅恵以来で15年ぶり。

 新井は準々決勝でリオデジャネイロ五輪銀メダル、世界女王3度のジュリ・アルベアル(コロンビア)に優勢勝ち。準決勝では昨年2位のマリア・ペレス(プエルトリコ)に一本勝ちし、初戦の2回戦から5試合を勝ち抜いた。アルベアルは3位。

 女子70キロ級で初出場の大野陽子(コマツ)、男子90キロ級で初出場の長沢憲大(パーク24)は銅メダルを獲得。ともに準々決勝で敗れたが、敗者復活戦と3位決定戦を制した。男子90キロ級はニコロズ・シェラザジシビリ(スペイン)が同国男子として五輪、世界選手権を通じて初めて優勝した。日本は男女計10階級で全選手が表彰台に立ち、金5、銀5、銅3個のメダルを獲得している。

◆技術でなく「強い気持ち」

 苦しんだ分だけ喜びも大きかった。女子70キロ級の決勝。普段は感情を表に出さない新井が、連覇を決めると涙を流した。「去年王者になってから悔しい思いばかりしてきた。強い気持ちで自分を信じて前に出た。本当にうれしい」

 今大会のテーマは、技術や戦術ではなく「強い気持ち」。決勝でガイーに先に技ありを許し、「このままでは終われない」と奮い立つ。パワーのある相手に対し、前に出続けて技を放つ。「何の技だか覚えていない」という無心の内股から寝技で抑え込んだ。

 昨年女王となり、頂点に立った者にしか分からない苦悩にぶつかった。投げ技を警戒され、海外勢はまともに組んでくれない。自身の心の中はこれまで貪欲に勝利だけを目指してきたが、恐怖心が芽生えてくる。「負けられない精神状態になると、挑戦や失敗することを恐れてしまう」。闘い方も精神面でも守りに入り、女王の重圧に押しつぶされて優勝できなくなった。

 5月末の国際大会後、日本女子の増地克之監督から声を掛けられる。「もう一度、挑戦者の気持ちを思い出そう。もっと大胆に強引にやったらどうか」。いまの新井にとって大切なのは技術よりも気持ちだった。

 苦境を乗り越え、心身ともに一回り大きくなった。もう弱気の虫はいない。「一番欲しいものを手にするまで、必死に頑張って勝ち続けたい」。24歳の女王の視界には東京五輪の金メダルしか入っていない。 (バクー・森合正範)

<あらい・ちづる> 世界選手権は17年優勝、15年5位。17年全日本選抜体重別選手権初制覇。18年はグランドスラム・パリ大会2位、グランプリ・フフホト大会3位。世界ランキング6位。得意は内股。埼玉・児玉高出、三井住友海上。172センチ。24歳。埼玉県出身。 

  (共同)

 

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