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【スポーツ】

実業団女子駅伝予選会「執念に感動」「止めるべき」 四つんばいのリレーに賛否

イメージイラスト・横田吉昭

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 福岡県で21日開催された全日本実業団対抗女子駅伝の予選会で、2区の選手が脚を負傷後、四つんばいになって前進を続けたことを巡り、賛否の議論が巻き起こっている。何とかたすきをつないだ選手に称賛の声が上がる一方、大会運営者側に対し「レースをやめさせるべきだった」との批判も相次いだ。

 痛ましい姿がテレビ中継されたのは、岩谷産業で2区を任された飯田怜(19)。第2中継所手前約200メートルで立てなくなり、両手と両膝をついて進んだ。待ち続ける次の走者が涙を浮かべる場面も。たすきを渡し終えた飯田の両膝は、路面ですれて流血していた。レース後、右すねを骨折する大けがだったことが分かった。

 リタイアさせる選択肢はなかったのか。日本実業団陸上競技連合などによると、倒れた飯田は審判員に「あとどれぐらいですか」と残りの距離を尋ね、たすきをつなぐ強い意思を示していた。

 大会本部のテレビ中継で選手の異変を確認した岩谷産業の広瀬永和監督は棄権を申し出たが、現場での連絡がうまくいかず、最終的に現場の審判員に伝わったときには中継所まであと20メートルほどだった。審判員は選手本人の意向もあり、そのまま見守ったという。

 テレビ中継では、大会関係者とみられる男性が「行かせたい」と発言する声も収録されていた。一方、岩谷産業は「運営側に棄権を要請したが、そのまま2区を終えた。非常に遺憾」としている。

 ツイッター上では「駅伝には後に続く仲間がいる。飯田選手の根性と執念に感動」「選手の体を一番に考え、すぐに周りが止めろ」などと賛否が交錯した。

 テレビ中継の解説者を務めたスポーツライターの増田明美さんは「係員や審判が勝手に止めるわけにはいかない。選手が行きたいと言っているわけだから。(係員らは)選手に寄り添った対応だった」と話す。一方で、選手や監督の意向を確認せずに止めるガイドラインを作る必要性も感じたという。

 スポーツ評論家の玉木正之さんは「勝ち負けへのこだわりの行き過ぎを抑制するのも主催者の役割で、止めるべきだった。『命のたすき』などと美談にすべきでない」と指摘。「どこで、誰が、どのようなやりとりをしたのか。その時点で残り何メートルあったかをきちんと検証すべきだ」と提言した。

 ◇ 

 日本実業団陸上競技連合の友永義治専務理事は22日、「(レース中に)早急に監督と連絡を取れる態勢を構築することは必要」と述べた。日本陸連の河野匡・長距離・マラソン・ディレクターは「(賛否)どっちの意見もあるのは当然。たすきがつながれば、予選を通過する可能性もゼロじゃない。選手、チーム、審判の判断が複雑に絡み合う。一方的にやれ、やめろとは言えない」との見解を示した。

 岩谷産業は最終的に21位に終わり、本大会出場を逃した。

 

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