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【スポーツ】

日本陸連 鉄剤注射「原則禁止」へ 指導者の意識改革急務

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 陸上の長距離選手が、貧血治療用の鉄剤注射を競技力向上のため不適切に使用している問題が波紋を広げている。過剰投与は体に悪影響を与え、日本陸連は来春をめどに鉄剤注射を「原則禁止」とする指針を示した。根絶に向け、指導者の意識改革や医療現場を巻き込んだ対策が必要になる。

 日本陸連は2016年4月に「アスリートの貧血対処7か条」を公表した。鉄が肝臓や心臓などに沈着して機能障害を起こす恐れがあり、安易な注射を控えるよう呼び掛けたが、高校駅伝の一部強豪校が継続して使っているとされる。日本陸連の尾県貢専務理事は全国高校駅伝(京都市)を翌日に控えた22日、監督会議に出席して鉄剤注射禁止の指針、来年から出場校に血液検査結果の提出を求めることを通達した。

 鉄剤注射を打つと血中の酸素を運ぶヘモグロビンが増え、持久力が向上する効果がある。医療行為でドーピングにはならないが、有力高校の監督は「打ったらタイムが20〜30秒は速くなると聞いたことがある」と話す。

 23日の全国高校駅伝に出場した西日本の強豪校の監督は、16年以降に鉄剤注射を受けた女子部員が1人いることを明かした。重度の貧血治療のため注射が必要と判断した医師が保護者とも相談し、不適切な使用とは「全然違う」と話した。女子で優勝した神村学園(鹿児島)の有川哲蔵監督はチームドクターがおり「(鉄剤注射は)治療でもやらない」と語った。

 日本陸連の山沢文裕医事委員長は「鉄剤注射は医学的適用が定められているので全て禁止することはできない。選手、指導者の希望によるものは禁止であるということ」と説明する。日本陸連が16年度の全日本中学校選手権と全国中学校駅伝の出場選手を対象に行った調査で中長距離選手の3・1%が「注射したことがある」と回答。低年齢層からの使用に、尾県専務理事は「指導者の資質向上が必要」と訴えた。

 日本陸連は鉄剤注射に関して当面罰則を設けない。高校駅伝出場校の指導者は「(原則禁止は)抑止力になる」と評価する一方、注射を使う学校は医師との結びつきが強いはずだと指摘する。日本陸連も医師との連携を強めていく方針だ。

 

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