東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > TOKYO発 > 望 〜都の空から > 記事

ここから本文

【望 〜都の空から】

開花(3)権現堂 春たすき未来へ

1000本のソメイヨシノと菜の花のカーペット。花の香りに包まれた権現堂堤は今、春たけなわ=6日、埼玉県幸手市で、本社ヘリ「おおづる」から(坂本亜由理撮影)

写真

 権現堂堤の桜は、時代に翻弄(ほんろう)されてきた。地域ににぎわいをもたらすことを願い、住民がソメイヨシノを植えたのは1920年ごろ。水運で栄えた権現堂川は、源流となる利根川からの流れが止まり、水がほとんどなくなっていた。堤は、花見の時期には幸手駅から約3キロにわたり人が連なる桜の名所に。しかし終戦直後の45年、「鬼畜米英」の教育を受けてきた住民は、占領軍が訪れるのを恐れて伐採。燃料不足で、まきとして使われた。

 49年、再び3000本が植えられたが、60年代の高度成長期にレジャーは多様化し、吸引力は薄れた。堤防沿いに産業団地の開発も進み、桜が1000本まで減った70年代半ば。幸手市の並木克己さん(64)たちが「思い出深い自然を残したい」と、ごみを拾い、菜の花も植えるようになった。96年には、並木さんが理事長となり、NPO法人「幸手権現堂桜堤保存会」が誕生。一時は10万人を切った花見客は、98万人まで回復した。

 並木さんらは、老木を接ぎ木で再生する試みも始めた。地元の小学生も春に堤に招く。いくどか途切れた桜堤の歴史。ピンク色と黄色の2色のたすきを、今度はしっかり次世代に渡すつもりだ。 (池田宏之)

写真
 

東京新聞フォトサービス

東京新聞フォトサービス

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報