東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > TOKYO発 > 望 〜都の空から > 記事

ここから本文

【望 〜都の空から】

水辺(3)木場・新木場 揺れ動く木の価値

木場から夢の島、そして新木場へ。運河一本一本を目安にして、埋め立ての歴史を見て取れる=東京都江東区上空で、本社ヘリ「あさづる」から(梅津忠之撮影)

写真

 木の価値を熟知する徳川家康は、木曾を直轄地にして江戸に大量の木材を集めた。18世紀初め、今の江東区木場周辺が集積地に。昭和50年ごろ、その南に世界有数の木材団地「新木場」が生まれた。両所に運び込まれた国内外の木は、戦後復興と高度成長の立役者。「『鉄は国家なり』というけど、日本はずっと『木は国家なり』でした」。東京木材問屋協同組合の吉条良明理事長(77)は力を込める。

 しかし気付けば社会の主役は鉄とコンクリートに。南洋の国々が輸出を禁じて以降、丸太が浮かばなくなった貯木用の堀は、木材市場の凋落(ちょうらく)を象徴する。もちろん業界は座して死を待ちはしない。昨年7月、新木場駅前に「木材会館」が完成した。1000立方メートルを超える国産木材を使った斬新なデザインは、社会の目を再び木に向けさせようという野心の表れ。経済発展著しい中国に建材として売り込む準備も進める。

 昭和30年、当時の鳩山一郎内閣は、過剰な森林伐採を危ぶみ木造建築を制限した。それから半世紀余り。鳩山由紀夫・前内閣は公共建築物への国産木材使用を促すことを決めた。祖父と孫で正反対の決断。「木の価値」がどれほど揺れ動いたか示すエピソードだ。 (岡村淳司)

写真
 

東京新聞フォトサービス

東京新聞フォトサービス

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報