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【望 〜都の空から】

皇居 厳冬 芽吹き待つ森  

澄み切った空気に包まれる雪化粧の皇居。堀を縁取る引き締まった白色が鮮やかだ=1月24日、本社ヘリ「おおづる」から(市川和宏撮影)

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 皇居周辺が舞台となった1936年の二・二六事件は、雪景色とともに記憶に刻まれている。しかし、当時の観測記録では、事件発生の2月26日未明、東京都心で雪は降っていなかった。

 降りだしたのは午前8時すぎ。陸軍の反乱部隊は岡田啓介首相ら要人の襲撃と永田町などの占拠を終えていた。ただ、3日前の雪が残っていた。再びの雪は夜まで続き、積雪は20センチに達した。血気あふれた青年将校がぬかるみに足を取られることもあっただろう。反乱は鎮圧されたが、事件を境に軍国主義がエスカレートし、国民生活は長い冬の時代へと入る。悲惨な雪の後始末だった。

 今は、それほどの雪が積もるのは珍しい。先月24日、この冬初の都心の積雪は4センチだった。宮内庁庭園課の職員は、雪の重みで折れた枝を撤去したりした。穏やかな、平和な作業だった。

 面積115ヘクタールの皇居は巨大な森だ。樹木が何本あるかは庭園課でも分からないという。できるだけ人の手を入れない管理を心がけ、自然の新陳代謝に任せているからだ。

 北沢克巳庭園課長は「植物は、この時期に一定の寒さを経験しないと花が咲かない」と語る。冬の厳しさは、芽吹くための準備でもある。 (水谷孝司)

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