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【望 〜都の空から】

業平の思い 継ぐ 東京スカイツリー

下町にそびえる東京スカイツリー。新年の澄み切った空気の向こうに富士山の雄姿があった=4日、本社ヘリ「おおづる」から(川柳晶寛撮影)

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 平安時代、利根川の下流だった隅田川の辺りはさぞかし寂しい風景が広がっていたのだろう。京の都で官位を取り上げられ失意の諸国放浪をした歌人の在原業平が、この地で詠んだ歌がある。

 名にし負わば/いざこと問はむ/都鳥/わが思ふ人は/ありやなしやと

 都鳥とはユリカモメのこと。都という名前を持っているなら教えてほしい。京の都に残してきた愛する人は、いま生きているのか、いないのか−。「こと問はむ」の一節は、隅田川に架かる言問橋の名前の由来となった。

 歌人の名は東武鉄道の駅名「業平橋」に刻まれていたが、これは東京スカイツリーの開業にあわせ「とうきょうスカイツリー」に改称された。街の発展が、また一つ、歴史の記憶を消し去った。だが、地元商店主の金沢武市さん(69)は言う。「駅名変更は時代の流れでも、業平のゆかりはわれわれが受け継いでいきたい」。業平の姿をしたマスコット「おしなりくん」を連れ、全国のゆるキャライベントを回っている。

 ツリーの展望台に登れば、眼下のパノラマにたくさんの人が目を凝らす。思い出の人は、あの街でどうしているのだろうなんて質問は、都鳥の代わりに塔が受け止めてくれる。 (土屋善文)

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