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【栃木】

古民家内部を和紙で装飾 足利で文星芸大生ら、芸術作品の展示空間に再生

古民家を和紙で飾るプロジェクトに取り組む(後列左から)文星芸術大の大沢准教授、大工の元田さん、中村准教授と学生たち=足利市で

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 足利市で古民家の内部を和紙で装飾し、芸術作品の展示空間に生まれ変わらせるプロジェクトが進められている。和紙の研究家で古建築の再生に詳しい文星芸術大(宇都宮市)の中村寿生(としお)准教授(48)の研究室と、古民家の利活用に知恵を絞る足利市のグループ「つなぐつむぐ会」が協力。7月に作業が始まり、2019年度の完成を目指す。 (吉岡潤)

 一七年度の県の「大学・地域連携プロジェクト支援事業」に採択された。中村准教授が率いる大学院生と学部生が夏季休暇などを利用して足利市に滞在。古建築の修理や改修の経験がある東京都葛飾区の大工元田(もとだ)良一さん(63)の援助を得て、昭和初期に建てられた民家の内装を一新する。中村准教授は「斬新だが、懐かしくて落ち着くような空間」をイメージする。

 一八年春からは同大が新設する地域文化創生コースの授業に組み込む。完成後の再利用という目的だけでなく、空き家自体を美術作品にする作業を通じ、若い学生が伝統文化に触れ、地域の人々と交流して活気づける狙いもある。

 今年五月、同市出身の大沢慶子准教授が空き家の目立つ風景を変える一助として「中村准教授の力を生かしたい」と考え、建築士らでつくる「つなぐつむぐ会」に相談。同会の山田夕湖(ゆうこ)代表(42)は「建築以外の分野で、発想が広がるのはいい」と歓迎した。

 日本画専攻の中村准教授が古建築に関わり始めたのは十五年前。茨城県守谷市で、明治の建築初期に建てられた木造の大きな米蔵に出合い、芸術家仲間と協力し、「自分たちの発表の場に」とギャラリーに改修した。さらに江戸末期か明治初の建築とみられる同県利根町の民家を直して住み始めた。

 「写真でしか知らなかった建物を見て江戸時代にタイムスリップしたような気分になって」。古建築への興味は募り、古民家の移築再生に加え、東京・上野の寛永寺で徳川慶喜が蟄居(ちっきょ)した「葵(あおい)の間」の障壁画の復元や日光市の日光二荒山神社の天井画の制作などにも携わってきた。

 古建築と向き合う中で重視したのが、日本画の画材であり、屏風(びょうぶ)などの材料にもなる和紙。原料の大半を外国産に頼っている現状を知り、一一年には利根町で自ら和紙の原料となる楮(こうぞ)の栽培も始めた。その楮を原料に、専門家にすいてもらった和紙に絵を描き、古建築の再生に使う。

 来年五月には作業過程を一般に公開し、和紙を染めるワークショップなども開く予定。中村准教授は「学生がどれだけ自由な発想ができるか」と期待する。大学院生の鎌田萌奈美(もなみ)さん(27)は「建物の良さを生かしつつ人が足を運んでくれるような場所にしたい」と語る。

 

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