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【栃木】

<衆院選>記者座談会 野党自滅の中 自公が底力

 22日投開票された衆院選は自民が安定した戦いで県内五つの小選挙区のうち4議席を維持し、残る1議席を無所属候補が確保して終わった。現場で取材を続けた記者たちが座談会形式で選挙戦を振り返った。

◆分かりにくかった合流劇

 政権与党の強み

 −小選挙区は自民が四議席を維持し底力を見せた。

 A 連立政権を組む自民、公明の連携がやはり大きい。自民県連幹部は公示前に「今回ほど自公でしっかり頑張ろう、ということはなかった」と言っていた。自民前職の出陣式では「比例は公明」と呼び掛ける場面が目立った。

 B 実績を訴えられる政権与党の強みはある。自民候補は実績を淡々と訴えることに徹していた。野党が批判する「森友・加計学園問題」を意識して、「(安倍晋三)首相周辺のことでご心配を…」と触れる候補もいたが。終始、安定した戦いぶりだった。

 C 再編・分裂した野党の自滅に尽きると思う。与党から「単なるブーム」とか「看板を付け替えただけ」と批判され、付け入る隙を与えてしまった。

 準備不足を露呈

 −野党の戦いぶりはどうだった。台風の目になると目された希望は。

 C 2区を除いて戦いにならなかった。解散の時期は与党内からも驚きの声が上がったが、前回の選挙からもう約三年。野党第一党の民進は「常在戦場」を忘れていたんじゃないか。そこへ、希望への合流話が出た。民進公認予定だった三人はすったもんだの末に、希望から一人、無所属で二人が立候補した。その過程は有権者にとって分かりにくかったと思う。

 D 希望への期待は設立直後がピークで、選挙戦序盤ですでに勢いはなかった。小池百合子代表の「排除する」との発言が敗因として注目されたけれど、そもそも戦う態勢が整っていなかったのは、県内の陣営を見れば明らか。急ごしらえの政党が急な解散で、候補者をバタバタと立てても、選挙には勝てない。

◆2区は野党共闘が功奏す

 空中戦も及ばず

 −主な選挙区の戦いを振り返ってみると。

 C 1区は二人が希望の公認を争い、元職の柏倉祐司さん(48)が希望、新人の渡辺典喜さん(34)が無所属で出馬して、自民に有利に働いた。柏倉さんは「一本化が望ましいが、なかなか事が運ばない」と苦しい胸の内を語っていた。渡辺さんの陣営は、希望に加えて共産候補も並び立ち「立ち位置を伝え切れなかった」と悔やんでいた。

 D 三度目の挑戦となった4区の希望新人の藤岡隆雄さん(40)は地道な活動を続けていたようで、票を上積みした。元々は民進で出る予定だったけれど、公示直前に事務所でポスターの「民進党」の文字の上に「希望の党」のシールを貼ろうとしている場面に出くわした。準備は大変そうだった。

 5区の希望新人の大豆生田実さん(51)は、現職閣僚の自民前職に「徒手空拳の空中戦」で挑んだ。改革をうたい文句にしたが、希望への支持が広がらなかった全体状況に影響された。

 対立軸が明確に

 −前職の一騎打ちとなった2区は、無所属の福田昭夫さん(69)が自民の西川公也さん(74)を破った。

 C 福田さんには「昭夫党」と呼ばれる強固な支持層があるし、今回は野党連携が奏功した。自身は民進の県連代表で、立憲民主、社民から推薦を受けた。共産は候補擁立をやめ、支持に回った。「自民対非自民」の分かりやすい構図となった。各政党は後方支援に徹し、支持政党のない無党派層の支持も取り込めた。これは共同通信の出口調査でも裏付けられた。

 B 自民は公示前後に安倍首相や小泉進次郎筆頭副幹事長を投入したが…。西川さん自身が敗戦の弁で「野党共闘の力が大きかった」と認めていた。早くから組織固めをしたけど緩みが出た、とも。

◆ドタバタを見せられ

 冷めたムード

 −投票率について。小選挙区は一九九六年の導入以降、前回に続いて二番目に低い51・65%だった。

 A 有権者から「幕が上がりきる前に下りた選挙」という声を聞いた。民進の分裂劇で、有権者が早々に冷めてしまった。政策論争より野党のドタバタが目立ったようで残念。

 D 2区を除くと序盤から自民勝利のムードが広がり、関心が高まらなかった。希望の小池代表は県内に二回も応援に入ったが、失速を止められなかった。一方、野党第一党に躍進した立憲民主の公認候補が県内にいなかったことを一因に挙げる有識者もいた。リベラル支持層の受け皿がなかったという指摘だ。

 

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