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【栃木】

幻の魚イトウでラーメン 宇都宮の「どる屋」落合さん

「イトウ」を手にする落合さん(右)と、ボクシングのプロデビュー戦ではいたトランクス姿で「プレミアムヤシオマス」を持つ大曽根さん=宇都宮市で

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 宇都宮市中央のラーメン店「らあめん厨房(ちゅうぼう)どる屋」は11〜13日、「幻の魚」と称されるイトウを使ったラーメンを販売する。店主の落合泰知(やすとも)さん(58)は「イトウを使った例は他にないはず」と不敵に笑う。「幻の〓(いとう)らーめん」と命名した斬新な一品は、ある弟子に刺激されて誕生した。 (吉岡潤)

 イトウはサケ科の大型淡水魚で生息数が少ないことで知られる。落合さんが使うのは、一般に一キロ六千円という高価な養殖もの。一夜干しにするなどして、だしを取る。「珍しいだけではお客さんは食べてくれない」と、一カ月かけて試行錯誤し、納得できる味と香りのスープに仕上げた。

 これまで県産淡水魚を活用して独自の味を生み出してきた。それでも大胆と言える新メニューの開発に火を付けたのは、東京都新宿区の「すごい!煮干(にぼし)ラーメン凪(なぎ)」の店長を務める同市出身の大曽根(おおそね)悠二郎さん(30)の「挑戦」だった。

 大曽根さんは、中学三年で落合さんの店に通い始めた。作新学院高校でボクシングに励み、減量しなくていいときには県外まで出かけてラーメンを食べ歩き、「バンタム」という名前でラーメン情報サイトに投稿を重ねた。高校を卒業し、「ラーメン凪」を運営する東京都内の会社に入った。

 落合さんは普段は離れていても、ずっと大曽根さんを「弟子」としてかわいがってきた。三年前、大曽根さんが店長に抜てきされると「バンタム、栃木の食材で勝負しろ」とスープ用に県産ニジマス「ヤシオマス」を送った。味は評判を呼び、テレビや雑誌に取り上げられた。

 「舌」を見込まれ、会社が国内で展開する各店に出すスープ作りを任された大曽根さんは仕事の傍ら、ボクシングを再開した。主将も務めた高校時代、インターハイにも出たが、最後の国体はけがで出場を辞退。「やり残したという思いがあった」からだ。

 今年九月二十九日、三十歳にして「にぼし悠二郎」のリング名でプロデビューし、十九歳の相手に3−0で判定勝ちした。「勝つわけない」と思っていた落合さんは驚いた。「よし私も挑戦を」。そのときに頭に浮かんだのが、知り合いの養殖業者が手に入れたと話していたイトウだった。

 「イトウなんて誰も食べたことがないだろう」と考え、メニューには刺し身も添える。税込み千百円で、昼と夜各十五食限定。仕入れ値が張るため、「もうけはない」。来月からは毎月一回、提供するという。

 大曽根さんも、ラーメン凪が九日午後七時半から東京都渋谷区の東京カルチャーカルチャーで開く「秋の大感謝祭」で、県産「プレミアムヤシオマス」と煮干しを組み合わせた一品を作る。「三年前より進歩した味を楽しんでほしい」。勝利会見もある。

※〓は、魚へんに鬼

 

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