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【栃木】

<高砂淳二の大地のささやき> らいさま

写真

◆「神鳴り」は天地の恵み

 栃木、茨城、群馬などの北関東地区は、夏場に雷(かみなり)が発生することが多く「雷銀座」と呼ばれている。

 夏場に太平洋から吹き付ける風が群馬の山々に当たって上昇気流を作り、それが雷雲を発生させるのだ。中でも宇都宮は、夏場の発生回数は日本一とのこと。

 先日、一時間で三千六百回の雷発生という驚異的なギネス記録を誇る、ベネズエラのマラカイボ湖というところに行ってきた。大きな湖の三方向をアンデス山脈に囲まれ、そこに温かく湿ったカリブ海からの風が吹き付けて上昇気流が起こり、雷雲がどんどん製造されて雷が多発するのだという。

 湖の上に水上小屋のようなものがあり、そこで寝泊まりしながら雷の写真を撮った。三泊したうち二晩雷が発生し、特にそのうちの一日は、一晩中嵐と雷に囲まれた状態だった。

 写真は、マラカイボ湖で四方に走る稲妻。その都度夜空が明るく照らされる。風の吹き付ける方角がころころと変わって四方八方で稲妻が光り、雷鳴がとどろいた。一時間に三千六百回の記録に近いのでは、と思えるほど、絶え間なく光り、輝いた。

 雷の語源は、言うまでもなく「神鳴り」だ。昔、雷は神さまが鳴らしていた、と捉えられていたのだ。しかし自然現象のメカニズムが分かっても、自然現象はやはり“天地”が創り出すもの。そこに人知を超えた力が働いているのには違いはない。

 栃木では雷を、「豊かな恵みをもたらすもの」として、親しみを込めて“らいさま”とも呼ぶと聞く。そんな風に自然を捉えて現代人も暮らしていけたなら、もう少しうまく自然と共存できるような気がするのだが。

 <たかさご・じゅんじ> 宇都宮大工学部電子工学科卒。世界各地の絶景に架かる夜の虹や動植物などを独自の視点から撮影している。2011年3月の東日本大震災で宮城県石巻市の実家が被災し、母親ら親族は宇都宮市に在住する。

 

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