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【栃木】

公演中に楽屋から火! 宇都宮で避難訓練コンサート

誘導に従い速やかに避難する参加者ら=宇都宮市で

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 コンサートホールで楽団演奏を鑑賞中、地震や火災に見舞われたら…。二〇一一年の東日本大震災を機に、一般の観客や聴衆を動員した「避難訓練コンサート」が注目されている。十一月、宇都宮市の県総合文化センターで行われた訓練を取材した。 (北浜修)

 訓練は十一月二十日、県交響楽団弦楽アンサンブルが演奏中、楽屋で火災が発生したとの想定であった。

 事前に申し込んでいた一般市民ら約二百人と、スタッフら約五十人が参加。市民らはどのタイミングで訓練が始まるのかは知らされないまま、客席に着いた。

 午前十時半に演奏開始。ドボルザークの「弦楽セレナード」などの荘重な曲が続き、二十分ほど過ぎたころ、館内にけたたましい非常ベルが鳴り響く。演奏は中断。間もなくスタッフが壇上から客席に拡声器で避難を呼びかける。参加者は一斉に立ち上がると、スタッフの誘導で速やかに屋外へ避難した。

 館内へ戻って着席した参加者を前に、訓練を見守っていた地元の消防署幹部が講評。「今回は火災を想定したが、地震の時、ホールでは照明や天井が頭上に降り注ぐ危険がある。頭部を守り、スタッフの指示を聞き、落ち着いて避難を」と呼びかけた。

 非常ベルを合図に始まった訓練は、約三十分間で混乱なく終了。生演奏は再開され、市民らは普通のコンサートのように楽しいひとときを過ごした。

 参加した宇都宮市の主婦(74)は「よい経験になった。これが現実に起きたらと思うと怖いが、一回経験しているので、いくらか心構えができた」と前向きにとらえている様子だった。

 県総合文化センターでの避難訓練コンサートは、二〇一四年度に始まり、地震や火災などを想定して、今回で四回目となる。同センターの岡田亜矢さん(44)は「いざという時のためには、実際にお客さんがいる状態で訓練をする必要がある」と、毎年訓練を重ねることの意義を話す。

 訓練には、コンサートを現場で実際に運営する民間事業者も加わった。北関東の公共施設で公演を運営する「シグナス」(宇都宮市)の畠井隆志さん(40)も「避難計画を書面上で段取りしても、机上の空論。訓練を重ねた方がいい」と、観客や聴衆を動員した訓練の必要性を強調した。

 全国公立文化施設協会(東京)によると、避難訓練コンサートは東日本大震災で被災した水戸芸術館(水戸市)が二〇一一年八月、復旧工事を終えて震災後初めて行ったことで、注目されるようになったという。協会の昨年の調査では、回答した全国の約二百六十施設の18%が実施していた。

 

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