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【栃木】

<おでかけパレット>日光 SL「大樹」 圧倒的存在感 黒色とカニ目

出発を待つSL「大樹」。車体が黒く輝く

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 黒い車体から蒸気を吐き出して動きだす存在感は圧倒的だ。日本有数の観光地、日光市の東武鬼怒川線下今市−鬼怒川温泉間で、昨年八月に運行を始めた蒸気機関車(SL)「大樹」。乗客が待つホームにSLが滑り込むと、注目を一身に集める。

 「きれいなSLだ、と言われるとうれしいですから」と話すのは機関士の仲沼和希さん(50)。ススで汚れると車体のつやは失われてしまうが、手の空いた機関士や機関助士らが誰ともなく磨いている。

 電車を運転してきた仲沼さんは、SLの運行が決まると機関士に志願。SLを走らせている秩父鉄道(埼玉県)で一年近くかけて運転技術を学んだ。「操作の違いに戸惑った。電気でモーターを動かすのとは違って、蒸気の特性をつかむのが難しかった」

 運行が始まった今は「滑らかに、燃費良く走らせることができるようレベルアップしたい。見た目も運転も日本一を目指す」と研究を重ねている。

「カニ目」の愛称のもとになった前照灯

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 東武鉄道としては、一九六六(昭和四十一)年以来、五十一年ぶりとなるSLの復活運転。大樹の車両は四一年に製造され、北海道で活躍した「C11形207号機」をJR北海道から借り受けた。濃霧の多い地域を走るため、前照灯は二つある。目を突き出したカニのようにも見えることから「カニ目」の愛称で親しまれる。

 「かわいらしい顔ですよね」。SLにちなんだ黒い制服に身を包む観光アテンダントの福田結さんが笑顔で話す。愛称の由来を乗客に説明すると「面白いね」と言って写真に収める若い女性が多い。SLは女性にも人気で、車内が女子会のような雰囲気になることも。「良い温泉も多い。女性だけのイベントも企画してみたい」と意気込む。

 観光アテンダントは客車一両に一人ずつ乗り込む。SLの復活を起爆剤に日光・鬼怒川地域全体を活性化させようと、沿線の見どころや観光スポットを乗客に紹介する。平ひとみさんは車内で一人ひとりに声を掛けることを心掛け、何度も乗っている顔見知りの乗客も増えた。「雪の降るころにまた来る」と話す鉄道写真の愛好家もいるという。

黒い制服と笑顔で乗客を迎える観光アテンダントの福田さん(左)と平さん=いずれも栃木県日光市で

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 日光連山は雪化粧している。北の大地を走り続けたSLだけに雪の走行も大丈夫だろう。愛情を込めて磨き上げられた黒く光る車体と雪のコントラストが楽しめる季節の到来だ。 (小川直人)

<SL「大樹」> 鬼怒川温泉駅前にある大樹の転車台の周りには観光客らがぐるりと陣取り、大きな車体を写真に収める。「ほら、見てごらん」と子どもの手を引く親の方が、興奮しているようにも見える。「生き物」と形容されるSLの、電車とはまるで違う質感や音、においが人を引きつけるのだろう。カメラをしばらく向けているだけで、魅力の一端を感じることができる。

 大樹は、下今市−鬼怒川温泉間の12.4キロを約35分間で走る。土日と祝日を中心に1日3往復する。座席指定料金は大人750円、小児380円で、このほかに乗車区間の運賃がいる。

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