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【栃木】

<おでかけパレット>茨城・日立「JR日立駅」 眼前に広がる青色パノラマ

一面に広がる空と海=いずれも茨城県日立市のJR日立駅で

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 JR常磐線日立駅(茨城県日立市)のホームからコンコースに上がると、巨大なガラス窓の向こうに、ロイヤルブルーの景色が広がっていた。「太平洋だ」「空も広いね」。若い女性たちは感嘆の声を漏らし、スマートフォンをかざして写真に収める。ぼんやり眺めるだけのおじいさんもいる。

 市役所の日立駅周辺整備課で、駅の整備に長年携わった菊池稔明さん(45)は「この駅は、すっかり『まちの顔』になりました」と紹介する。

 「日立」の名前の由来は、「水戸黄門」で知られる水戸藩二代藩主・徳川光圀が、海から昇る朝日の美しさに「日の立ち昇るところ領内一」とたたえた故事とされる。

 ただ、菊池さんは「地元の人以外には、日立の海の良さがほとんど知られていなかった」と言う。

海に突き出すような形の駅舎。右側のエリアがシーバーズカフェ

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 美しい海を使って駅を人が集まる場所にできたらと、市はJRとともに、約十年かけて駅と周辺整備に取り組んだ。地元出身の建築家、妹島(せじま)和世さんがデザインを監修した。「(昔の)駅からは海が見えませんでした。海が近くにあるのに見えないのはもったいない」と駅舎の看板にデザインの意図を寄稿。駅舎の至る所から海が見えるようにした。

 駅舎をより海に近づけたほか、長さ百四十メートルの東西通路を設け、橋上化した。駅舎も通路も全面ガラス張り。安全性とデザイン性を巡り、JRと市が対立したこともあったが、「五百年に一度の強風に耐えられるかどうか」などを調べ、実現した。駅舎と通路の供用開始は東日本大震災の起きた一カ月後の二〇一一年四月で、菊池さんは「震災による影響は小さく、ほぼ無傷だった」と振り返る。

 駅長の堀田吉栄さん(59)によると、駅の利用客の多くは日立製作所の関係者だが、SNSで口コミが広がり海を目的に見に来る人も多いという。中には、四月下旬に青いネモフィラが咲き誇る「国営ひたち海浜公園」(ひたちなか市)の最寄り駅と勘違いして訪れる外国人観光客も。「ネモフィラとは違った青を見て、二重に楽しんでもらえるのでは」と話す。

長年、駅の整備に携わった日立市職員の菊池さん(左)とカフェ店長の坂本さん

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 駅には、海を見渡しながら飲食できる「シーバーズカフェ」がある。地元出身の店長坂本修一さん(36)は「景色に負けないようなサービスを心掛けています」とPRする。料理へのこだわりはもちろん、多数のイベントも開き、にぎわいをつくる。

 今では、年間六万人が店を訪れているという。「多くの人に、この青い海を伝えたいですから」。そんな思いが積み重なり、この駅は支えられている。 (山下葉月)

  =おわり

<JR日立駅> 初日の出スポットとしても人気だが、海が東側にあるため、撮影するならば、逆光にならない正午すぎから午後3時の時間帯がおすすめ。しゃがみ込んで、下から見上げるように撮影すると、海の上を歩いているような写真が撮影できる。メインの写真のようにスマホのアプリで明るさを調整すると、より青が際立つ。

 2014年に優れた鉄道デザインに贈られる国際コンペ「ブルネル賞」の駅舎部門で優秀賞を受賞。まるで海の上を散歩しているようで、リラックスできる。スマホで撮影に没頭しすぎて、海を眺めて楽しむことも忘れないで。

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