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【栃木】

<11日に考えた>バイオ燃料利用に課題 渡良瀬のヨシ熱源 小山市が検証へ

市役所に設置された廃食油の回収ボックス=小山市で

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 2011年の東京電力福島第一原発事故をきっかけに、再生可能エネルギーに大きな注目が集まり、各地で再生エネを地産地消する取り組みが盛んだ。小山市はラムサール条約登録湿地・渡良瀬遊水地に自生するヨシの燃料化を18年度から試行する一方、10年近く前に始めた廃食油の燃料化では、割高感から思うようには定着しない課題も抱える。 (小川直人)

 国際的に重要な湿地とされる渡良瀬遊水地のヨシは、春の風物詩「ヨシ焼き」で知られる。市はこのヨシ焼きの準備で刈り取られるヨシのほか、農家のヨシズ作りで出る端材、街路樹の剪定(せんてい)枝から暖房機などの燃料となるペレットを製造する。昨年三月に導入計画を策定した。

 市の調査では、市内で一年間に集められるヨシや剪定枝など計百トンから八十トンほどのペレットが製造できる。計画では、利用先として新たな観光交流施設を中心に、農業用温室や環境教育推進モデル校を想定。ペレットを試験的に製造する一八年度はストーブ四台を購入し、市内の小中学校のモデル校で使い、暖房の効果を検証する。

 貴重な地域資源の渡良瀬遊水地の利用は、「小山らしさ」をアピールできる象徴的な取り組み。市は軌道に乗せることに意欲的だが、再生可能エネルギーの普及の難しさは、〇八年度に始めた廃食油燃料化の先例に現れている。

 市は廃食油を家庭や事業所から回収し、軽油の代わりとなるバイオディーゼル燃料(BDF)を精製。公用車のトラックやごみの回収車、農家のトラクターなどに使われてきた。ところが、利用量は一二年度にはピークの約五万四千リットルに上ったが、一六年度は約二万三千リットルに半減した。

 減少の主な理由は、販売価格が一リットル当たり百円前後で推移する軽油と比べ、製造コストが同百二十円ほどと割高だからだ。BDFは製造業者の元に取りに行かなくてはならず、点在するガソリンスタンドで入手できる軽油と比べて手軽さでも分が悪い。一五年度からは利用する農家がいなくなってしまった。

 エコカーのトレンドが電気自動車に移行しつつあるのも逆風で、車の燃料としての利用は頭打ち。市はBDFを燃料にする小型発電機を導入して、環境イベントなどで活用することも検討している。

 「環境に優しいというだけでは使い続けてはもらえない」。市環境課の担当者は頭を悩ませるが、地球環境を守ることは人類共通の大きな課題。「地球温暖化防止対策のための二酸化炭素(CO2)排出削減の取り組みの一つとして、地道に続けることが大事だと考える」と話している。

 

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