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【栃木】

栃木市出身、版画家・鈴木賢二の没後30年 県立美術館で企画展

版画に加えて、益子で暮らしていた時代に制作した陶彫などが並ぶ企画展会場=宇都宮市で

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 下都賀郡栃木町(現・栃木市)出身の版画家で、昭和時代にメッセージ性の強い作品を残した鈴木賢二(一九〇六〜八七年)の没後三十年を記念した企画展が、宇都宮市桜の県立美術館で開かれている。社会運動に身を投じ、懸命に生きる人々の姿を力強く表現。病に倒れた後も創作を続けた激動の生涯に迫っている。 (藤原哲也)

 鈴木は東京美術学校(現・東京芸術大)時代からプロレタリア美術運動に熱中。版画以外に彫刻や工芸、漫画などマルチに才能を発揮した。会場には戦前、戦中、戦後と時代順に生涯を追いながら、遺族から提供された作品を中心に約三百五十点を展示する。

 中でも、戦後に拠点を再び東京に移した後に創作した大判の版画作品は圧巻。社会運動を通じて労働者の窮状を訴えつつ、社会的弱者の目線で苦労する親子や女性を次々と作品化した。日雇い労働者や女性の日常などを題材にした「署名」「女」はその代表例。そこには鈴木の農村に生きる人々や労働者への温かいまなざしが垣間見える。

 一方、六四年に倒れて帰郷すると、彫刻刀を左手に持ち替えながら社会問題とは一線を画した作品も。少年時代が題材の「平井のおばあちゃんと、添い寝」や、妻よしと共作した「花日記」などは身近な家族への思いにあふれている。

母親の肩越しにのぞく子どもの顔が印象的な「署名」(1960年)、県立美術館提供

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 企画展副担当の石田友里学芸員は「これだけ人の表情や頑張りを観察して表現できる人は珍しい。作品から現代にも通じる強いメッセージを感じてほしい」と来場を呼び掛ける。

 企画展「没後三十年 鈴木賢二展 昭和の人と時代を描く」は、三月二十一日までの午前九時半〜午後五時。月曜休館(二月十二日は開館し、同十三日が休館)。観覧料は大人八百円、大学・高校生五百円、中学生以下は無料。期間中はギャラリートークや講演会などの関連行事もある。

 問い合わせは、県立美術館=電028(621)3566=へ。

 

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