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【栃木】

よみがえる江戸のからくり 人形4体、市観光協会に寄贈

茶運び人形を動かす半屋弘蔵さん=栃木市で

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 江戸時代の「からくり人形」を復元、制作している栃木市のからくり人形師、半屋弘蔵さん(64)が市観光協会に人形4体を寄贈した。27日から市内のとちぎ山車会館に展示され、先立つ25日から人形を動かす実演も行う。「現代にも通じる仕組みや仕掛けが隠されており、奥が深い。多くの人に見てほしい」と語る。 (吉岡潤)

 寄贈したのは、茶わんを持って行き来する「茶運び人形」、とんぼ返りしながら段を下る「段返り人形」、箱を持ち上げるたびに中の品物が変わる手品をする「品玉(しなだま)人形」、鼓を打って笛を吹く「鼓笛児童」。江戸時代に出された設計書「機巧図彙」(からくりずい、きこうずいとも読む)を参考に制作した。

 本名は山本弘。元はいすゞ自動車栃木工場に勤める技術者だった。工場の生産性向上とコスト削減を担当していた一九九三年、上司に「『からくり』について勉強してくれ」と指示された。「生産性の改善に応用できるのではないか」という発想だった。

 たとえば、からくり人形の中でもよく知られた茶運び人形。茶托(ちゃたく)に茶わんを載せて両足と頭を揺らしながら前進し、客が茶わんを取ると止まる。再び茶托に茶わんを載せると旋回して元に戻る。一つのぜんまいだけを動力にさまざまな動きをする「効率性」に、上司は着目したという。

 埼玉県川口市のからくり人形師、半屋春光さんを訪ね、目の前で人形が動くのを見て驚いた。春光さんの工房に通い、目的通り、工場の「からくり改善」は成果を得た。一方で「からくり人形に人生をかけてみたい」と思いが募った。二〇〇一年、四十八歳で退職。人形師の道を歩み始めた。

 弘蔵さんによると、からくり人形師は全国でも数人ほど。機巧図彙を基に自らの工夫も加え、数カ月かけて一体を仕上げる。ぜんまいをはじめ、クランクやカムなど部品はどれも木製。百体以上を制作し、全国の博物館などに収めてきた。

 子どもたちに技術やものづくりの楽しさを伝えるために人形の実演に出向き、工作教室も開いている。四月には県内で大型観光企画「デスティネーションキャンペーン」が始まる。「全国でも四体そろっているのは珍しい。展示を機に栃木市に足を運んでもらえたらうれしい」と話す。

 山車会館での実演は二十五日と四月の毎週日曜、五月五、六日を予定。午前十時〜午後二時に随時開催する。今月十八日には市内のヤオハン城内店で午前十一時から行う。

 

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