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【栃木】

「雪崩考えなかった」 那須の8人死亡追悼式 引率教諭が釈明、謝罪

追悼式で献花する参列者=那須町で

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 県立大田原高校山岳部の生徒七人と教員一人の計八人が死亡した那須町の雪崩事故は、二十七日で発生から一年。同町のなす高原自然の家で行われた追悼式には懲戒処分を受けた引率教諭三人も参加し、犠牲者に謝罪した。八遺族のうち七遺族が県教育委員会への不信感を理由に欠席し、代わりに声明が読み上げられる異例の進行も見られた。 (北浜修、小川直人)

 式の終了後、雪崩に遭った登山講習会を主催した県高校体育連盟の幹部らが記者会見し、講習会で指導的立場にあった教諭三人も同席した。

 三人は事故時、麓の本部にいた大田原高の猪瀬修一教諭(51)、犠牲者が出た班を現場で引率していた真岡高の菅又久雄教諭(49)、別の班を引率していた栃木高の渡辺浩典教諭(55)。菅又、渡辺両教諭が取材に応じるのは、事故後初めて。終始硬い表情で、言葉を絞り出すように質問に答えた。

 三人は事故当日、悪天候を受けて協議し、茶臼岳を登山する当初の予定を雪上歩行訓練に切り替えた。雪崩は、最も標高の高い位置にいた菅又教諭の班がスキー場周辺の樹林帯を登り終え、茶臼岳山頂の方向へ進んだところで発生したとされる。

 菅又教諭は「雪の状況や(山の斜面の)斜度から、雪崩は起こらないだろう、大丈夫だろうと判断した」、渡辺教諭も「雪崩はまったく考えていなかった」とそれぞれ述べ、雪崩の危険性を想定していなかったことを認めた。猪瀬教諭も「危機管理の甘さ、判断の甘さがあった」と認めた。

 その上で三人は八人の犠牲者に対して、「本当に申し訳ありません」と深々と頭を下げた。

 事故後の調査の過程で、二〇一〇年の講習会でも別の場所で参加者が雪崩に遭いながら県教委に報告されなかったことが判明している。参加していた渡辺教諭は「けが人がなかったので、報告しないでいいだろうと判断した」と釈明した。

 三人は「講習会を安全に実施すべき立場にありながら、責任を果たさなかった」として、十九日に停職三〜五カ月の懲戒処分を受けた。

遺族への対応について説明する宇田教育長

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◆引率教諭発言「あり得ない」 欠席遺族の毛塚さん

 事故で大田原高校山岳部顧問だった毛塚優甫(ゆうすけ)さん=当時(29)=を亡くした父の辰幸さん(65)は二十七日、取材に応じ、追悼式後に引率教諭らが雪崩発生の危険性を想定していなかったと発言したことに「あり得ない。登山講習会の指導的立場にある人は、常に雪崩は起きるものと考えるのが普通であり、とても指導者の発言とは思えない」と批判した。

 辰幸さんは式を欠席した。遺族の声明が読み上げられたことに「遺族の心境を多くの方々に分かっていただくことができたと思う。読み上げられたことはありがたい」と感謝した。

 遺族は同日、事故で負傷した生徒の家族の一部とともに「那須雪崩事故遺族・被害者の会」を結成した。事故を風化させない取り組みを進める。辰幸さんは「息子を失った悲しみは消えない。みなさんで悲しみや苦しみを共有し、話し合い、助け合っていきたい」と話した。 (北浜修)

 

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