東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 栃木 > 記事一覧 > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【栃木】

宇都宮LRT 時代遅れ? 20年以上前の構想 懸念の声

JR宇都宮駅前に立てられたLRTを推進する看板

写真

 宇都宮市などが渋滞対策として、20年以上前に構想を立ち上げた次世代型路面電車(LRT)の建設工事が6月に始まる。LRTの車両は全国12道府県で走っているが、新たに軌道を整備するケースは初めて。車社会から脱却し、人口減少に備えた街づくりの要にする狙いがあるが、自動運転の技術開発が進み「路線を固定する鉄道は時代遅れにならないか」との懸念も上がる。

 「長かったが、百年先まで持続する街をつくることができる」。LRT整備の最終認可が得られた三月、同市の佐藤栄一市長は安堵(あんど)の表情を浮かべた。

写真

 市が車に代わる新しい公共交通の検討を始めたのは一九九〇年代。二〇〇三年にLRT導入の方針を固めたが、当初は地元バス事業者が猛烈に反対。議会で与野党の争点とされた時期もあったが、市の説得でバス事業者の協力が得られ、ようやく着工にこぎ着けた。二二年の開業を目指す。

 LRTは一〇年ごろ、自動車に代わる公共交通として注目を浴びたが、多額の建設費が課題となり全国で導入構想が頓挫。国土交通省から出向した吉田信博副市長は「宇都宮も駄目かもしれないと思った」と振り返る。 

 LRTの先進地とされる富山市では、沿線の住宅建設に補助金を出して移住を促し、一五年には中心市街地の人口が増加に転じた。宇都宮市もLRTを軸にして、市街地の空洞化に歯止めをかけたい考えだ。

 一方で自動車業界の関係者は「バスの方が渋滞状況や人口分布に合わせて路線を変えるなど、柔軟に対応できる。二十年も前の鉄道計画は時代遅れになるのではないか」と疑問を投げ掛ける。

 国交省は、二〇年までの自動運転の実用化を目標に掲げ、既に長野など十三道県で実証実験に取り組んだ。

 LRTと同程度の運送能力はバスの連結で得られる上、LRTを導入した他の地域は既設の軌道を利用しており、新たな軌道整備に採算性を疑問視する声も上がる。

 吉田副市長は「市街地で自動運転が実用化されるのは二十年以上先だろう。数十年後にバスの代替導入はあり得るが、車社会からの脱却に今、必要なのはLRTだ。運行が始まれば良さが分かってもらえるはず」と自信を見せた。

<次世代型路面電車(LRT)> 自動車と比べて二酸化炭素排出量を削減できるため、米国や欧州で公共交通機関として発達した。高齢者や車いす利用者が乗降しやすいよう、床を低くした車両構造が特徴。宇都宮市ではJR宇都宮駅の東側で、隣接する栃木県芳賀町までの14・6キロが2022年3月に開業予定。将来的には駅西側にも延伸させ、整備費は最大で858億円と試算している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報