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【栃木】

コウシンソウ、登山者魅了 日光・庚申山 全行程7時間、市の見学会に同行

岩肌でかれんな花を咲かせるコウシンソウ=日光市で

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 日光市足尾町の庚申(こうしん)山(1892メートル)で、コウシンソウが今年もかれんな花を咲かせている。この山の自生地は国の特別天然記念物。ユキワリソウも咲く岩の壁面で目を凝らすと見つかる小さな花が、登山者を楽しませている。開花は例年より10日ほど早くピークは過ぎているものの、20日ごろまで観察できる。関係者を対象にした市の見学会に同行した。 (小川直人)

 コウシンソウは壁のように切り立った岩肌に自生する。登山ルートの一部「お山めぐりコース」上の鶴亀岩の壁面などで見られる。少し湾曲した花茎は六〜七センチ。薄紫色の花は一センチに満たないほど小さい。葉や茎から分泌する粘液で虫を付着させ、栄養を吸収する。

 花を落とした後の茎が、岩肌に沿ってにょきりと上を向いている。茎はそのまま反り返るようにして、先端の種を自らの株よりも上の位置に付着させる。この種が発芽すれば、岩肌を上の方に登っていくようにも見える。

 興味深いコウシンソウだが、数は年々減っているという。市の担当者によると、盗掘や温暖化が要因と考えられるが、詳しいことは分からない。

 登山口の一の鳥居から庚申山荘まで一時間余り。周辺には濃い紅紫が鮮やかなクリンソウが咲く。山荘から急な登りが続き、約一時間半で山頂に到着。日本百名山の皇海山(すかいさん)(二、一四四メートル)が間近に見える。いつかは登りたい皇海山だが、さらに三時間ほどかかる。

 自生地の鶴亀岩を目指して、山頂から「お山めぐりコース」の分岐まで下り「上級者向け」と書かれた看板のあるルートへ。鎖やはしごのある険しい岩場を抜けて自生地にたどり着き、無事に花を撮影できた。

 撮影に時間を要したが、一の鳥居に下山するまでの全行程は七時間ほど。登山ルートの難易度を示した県山岳遭難防止対策協議会の「山のグレーディング(格付け)」で、庚申山は必要とされる体力が十段階(数字が大きくなるほど体力が必要)で四。技術的難易度はA〜Eの五段階のうちのCで「ハシゴ・鎖場などを通過できる身体能力が必要」とされている。

 登山道には「夫婦蛙(めおとかえる)岩」や「めがね岩」といった巨石、奇石が多く、見どころ満載。登山は十月末まで楽しめ、秋は紅葉も美しいという。問い合わせは、市足尾観光課=電0288(93)3116=へ。

<コウシンソウ> タヌキモ科の食虫植物。1890(明治23)年に庚申山で発見され、山の名前にちなんでその名が付いた。自生地は庚申山のほか、男体山や女峰山など日光連山のごく一部に限られる。標高1400メートルを超える多湿な岩場で、谷筋からの冷気にさらされる岩肌で育つ。環境省のレッドリストで、絶滅の危険が増大している種の「絶滅危惧II類」に分類されている。

 

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