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【栃木】

350年前の創建、裏付け 足利学校「大成殿」で初の発掘調査

修理工事に伴い発掘調査が行われた大成殿=足利市で

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 足利市教育委員会は、史跡足利学校の「大成殿」(孔子廟(びょう))で初めて発掘調査を行い、「基壇」(建物下の基礎部分)の内部から、大成殿が創建されたとされる1668(寛文8)年に近い年代の陶磁器片が出土したと発表した。大成殿の創建時期は定説通りであると結論づけた。29日に現地を一般公開する。「二度とない貴重な機会」として見学を呼びかけている。 (吉岡潤)

 足利学校の大成殿は、孔子を祭る孔子廟としては国内最古とされる。今回の発掘調査は、二〇一一年の東日本大震災で傾いた大成殿の保存修理工事を実施するにあたり、基壇の構造や建物周辺の状況を確認するために行った。

 五月下旬〜六月下旬、建物下と前庭の計約三十平方メートルを調べた。基壇内部から出土した陶磁器片が一六五〇年ごろのものと確認でき、市教委は文献資料などから定説だった創建時期は間違いないと判断した。

 基壇は、造成地の上に盛り土を繰り返して突き固めて三十五〜五十センチほど盛り上げ、表面をしっくいで仕上げたことが判明。そして柱を立てる場所を掘り、砂利を混ぜた粘性土を突き固めて根固めし、五十センチ大の礎石を置いていた。

 前庭の発掘では、創建当時の整地層に大量の瓦片を廃棄した「瓦溜(だ)め」があるのが確認された。この整地層より上の層には修理や整地などが繰り返された跡が認められ、江戸中期に開発された軽い瓦の破片などが見つかった。

 創建当時の整地層より下の層の瓦溜めからは中世の瓦片が出てきた。大成殿建設のために敷地を造成する際、周辺の他の建物で不要となった瓦片を捨て、その上に整地層をかぶせたと考えられるという。

 市教委文化課の板橋稔さんは「基壇の工法はオーソドックスだが、貴重な建物ということで丁寧につくられている。しっくいは防水効果もあったと思われる」と説明。「基壇の状況も分かり、創建時のものが残っていたと確認でき、大きな成果だった」と評した。

前庭や基壇から出土した瓦片や陶磁器片

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 大成殿は東日本大震災で傾き、応急的に補強してしのいできた。修理は十月に始まり、二〇二〇年三月までに終了予定。屋根瓦を下ろし、壁板を外して骨組みだけにして、傷みに応じて作業を進める。

 工事終了まで、孔子像と小野篁(おののたかむら)像は方丈か庫裡(くり)に展示し、孔子と弟子らに供え物をささげる十一月の伝統行事「釈奠(せきてん)」と九月の「こども釈奠」は方丈で行う。

 発掘調査の現地説明会は午前十時〜正午。発掘現場の見学のみは無料。問い合わせは、史跡足利学校事務所=電0284(41)2655=へ。

 

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