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【東京】

<ぶら〜りキャンパス>サークル編 女子美術大/短大 活版印刷サークル

活字がぎっしり並んだ棚の前に立つメンバー=杉並区の女子美術大で

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 パソコンとプリンターで誰でもあっという間に印刷できる時代に、手作業で一文字ずつ活字を拾う「活版印刷」にこだわる。何百年もの間、世界中の出版文化を支え、昭和まで新聞社もお世話になった重要な技術だ。メンバーは、デジタルでは出せない温かみにほれ込み、新たなデザイン手法として生かそうとしている。

 学内にある工房は、小学校の教室二クラス分弱の広さ。棚が並び、小さなはんこのような活字がびっしり収納されていた。「漢字は部首別、ひらがなは、いろは順に並んでいます」。部長の白石桃香さん(20)=短大二年=が教えてくれた。

 活字はスズ、鉛などの合金製。サイズは新聞の見出しに使う一・五センチ角から、ふりがな用の二ミリ角までさまざまだ。アルファベット、ひし形などの記号、星、魚といった模様もある。授業で使う教材として大学が購入したものや、廃業した印刷工場から譲り受けたものなど、数は多すぎて把握できないという。

 松井茜さん(25)=同=に印刷の実演をしてもらった。必要な活字と、行間などを調整する部品を棚から取り出し、レイアウトした後にたこ糸でくくってまとめる。印刷機にセットして油性インキを塗ってプレスすると、ありがとうを意味する「THANKS」の文字がカードに現れた。

 時間がかかる上、印刷位置がずれたり、インキがかすれたり、印刷圧力で文字の部分がへこんだりする。白石さんは「そういうことも含めて手作り感にひかれました。刷り上がると他にはない味わいで、本当にうれしい」。メンバーは名刺や季節のあいさつはがき、好きな小説の一節など、思い思いのものを作製する。

 松井さんは卒業制作でも、活版印刷でカレンダーを作った。かっこ記号を組み合わせて松の柄を表すなどし、「活字の種類に限りがある中で、工夫する面白さも魅力」と語る。

 活字や印刷機がそろい、しかもサークルで使える大学は珍しい。しかし、白石さんが入部した二年前はメンバーが四人しかおらず、廃部の危機だった。ツイッターで魅力を宣伝し、今や二十五人に増えた。昨年七月には、活版印刷に関わる業者らが千代田区神田神保町で開くイベント「活版TOKYO」に初めて参加した。間もなく卒業する白石さんは「さらに活動を盛んにして」と後輩にバトンを託した。(柏崎智子) 

 

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