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【東京】

東京マラソン 母と二人三脚「生きた証し刻む」 八王子・自閉症の大久保さん

母純子さん(右)と並んでゴールする大久保勇紀さん=中央区で

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 春の陽気に包まれた二十六日、約三万六千人のランナーが都心を駆け抜けた。十一回目となった東京マラソン。健常者も障害者も、家族のため、友人のため、そして自分のために力の限りを尽くし、ゴールではたくさんの笑顔がはじけた。

 中央区の日本橋がゴールの10キロはジュニア&ユース(十六〜十八歳)、視覚障害者、知的障害者、移植者の男女と、車いすの男子が行われた。

 知的障害者男子に出場した大久保勇紀さん(24)=八王子市=は、伴走の母純子(すみこ)さん(59)と共に1時間3分余りでゴールした。勇紀さんは重い自閉症。純子さんは「障害があってもこれだけ頑張れるんだ、って姿を見せられた」と胸を張った。

 純子さんは長く子宝に恵まれず、待ち望んだ勇紀さんが自閉症と診断されたのは四歳の時。十八歳になると、てんかんの発作も出るようになった。物事を理解する能力が低く、ルールが分からないため球技はできず、話の筋を追えないテレビにも興味を示さない。

 特別支援学校の教員で、「うちの子にはできない」と決めつける障害児の親を多く見てきた純子さんは「そんなことない」と芽生えた反発心もあり、可能な限りいろいろな挑戦をさせ、乗馬やスキーを一緒に楽しんできた。五年前からは「百名山」に登るようになり、これまで九十三座を踏破した。今年中に目標の百座を達成する見込みだ。

 ゴール直後の勇紀さんは汗一つかかず、息遣いも穏やかで、まだまだ余裕がありそうな表情。純子さんは3キロ付近で腰を痛めてペースが落ちた。「あと10分は早くゴールさせられた」と悔しがりつつ、「また一つ、この子が生きた証しを刻むことができた」と息を大きく吐き出し、いとおしそうにわが子を見つめた。 (大平樹)

 

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