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【東京】

下北沢 さよなら駅前食品市場 発展の歴史語る写真展

展示された写真の前で、「ナガヌマ」の説明をする長沼洋子さん(中)と長男の洋一郎さん=世田谷区で

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 今年秋に更地になる世田谷区の下北沢駅近くの「駅前食品市場」で、市場の変遷をたどる写真展が開かれている。戦前から下北沢で商売を続けてきた地権者の一人は「野菜から魚、肉までおいしいものが何でも集まり、自分たちの生活の一部だった」と語る。

 「『市場に来て買い物するのが楽しみ』と言われなくなるのが寂しい」。昨年六月、開業から八十七年の歴史に幕を閉じた魚貝類販売店「ナガヌマ」を経営していた長沼洋子さん(75)は、自分の店が写る写真を見つめながら語った。

 市場近くで一九二九年にウナギ店として創業。その二年前に開業した下北沢駅前の方が集客が見込めたため四九年に市場に移り、ウナギに加えて貝や魚などの販売を始めた。この頃、既に多くの店が集まり、トタン屋根の下で市場が形成されつつあった。

 市場は闇市から発展したとも伝えられてきたが、そこで店を構えた長沼さんらは、不法行為には手を染めずに市場の礎を築いた。「戦後の混乱期にも皆、秩序を保ち、協力し合いながら市場を発展させてきたと祖父や父から聞いた」と長沼さんの長男洋一郎さん(45)。

 市場は今夏にも解体が始まる。しもきた商店街振興組合理事を務める洋一郎さんは「解体が始まる瞬間を、市場の歴史を知り、親しんできた高齢者や若者、市場を知らない子どもと見届けたい。今後は市場の記憶を自分たちが伝え、新しい下北沢を切り開いていく」と話した。

     ◇

 写真展は十一日までで、午後七時〜九時半に無料で観覧できる。同時開催が予定されていた、ゆかりのミュージシャンによるライブは六月十七、十八日に市場に隣接する広場で開かれる。問い合わせはI LOVE 下北沢=電03(6804)9710=へ。 (神野光伸)

 

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