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【東京】

<東京人>作詞家・阿久悠さんと東京 憧れの場所にせず

九段の下宿自室にて(昭和31年5月撮影)

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 今年は、五千曲以上の歌を残した作詞家阿久悠さんの生誕八十年、作詞家活動五十年、没後十年です。

 「北の宿から」「UFO」「津軽海峡・冬景色」「勝手にしやがれ」「また逢う日まで」など、きら星のごとくヒット曲を世に送り続けた阿久さんが淡路島から上京したのは、昭和三十年三月のこと。高校時代、洲本の映画館でスクリーンに映る東京の姿を食い入るように見つめた深田公之(ふかだひろゆき)(本名)青年ですが、阿久さんの歌には「東京」の具体的な地名などリアリティーのある描写はあまり出てきません。

 作家で阿久さんの評伝『星をつくった男』を書かれた重松清さんは、阿久さんと同時期にテレビ業界で活躍したテレビ・舞台演出家の鴨下信一さんとの対談で、「戦後の流行歌は、基本的には東京を憧れの対象として歌ってきた。であるならば自分(阿久さん)は、徹底して違うやり方でいこうと」「阿久さんの歌詞には東京に対する憧れもなければ、望郷の念も少ない。好んで描かれるのは旅立ちの風景であり、旅の途中だったりします」と話しています。一方の鴨下さんは「阿久さんの詞は、定住ではなく、どちらかというと流浪とか漂泊という感じがする」と言い、東京ではなく横浜の戸塚や静岡の宇佐美に居を構えた阿久さんの姿を重ねます。

 明治大学の学生だった四年間のほとんどを、友人との共同生活(都内五カ所)を送った阿久さん。作詞家阿久悠が誕生するまでの「東京物語」は、次回に続きます。 (「東京人」副編集長・田中紀子)

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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部から、原則毎週日曜日に都内各地の情報をお届けします。

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 ◆詳しくは、「東京人」9月号20ページ対談 鴨下信一×重松清「『阿久悠』という時代名詞」で。

 【9月号主な内容】インタビュー 岩崎宏美、小林亜星、飯田久彦▽対談 渚ようこ×前野健太「歌は時代とのキャッチボール」▽深田公之の東京地図 文・与那原恵

 問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

 

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