東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京 > 記事一覧 > 9月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【東京】

<ひと ゆめ みらい> 「若年認知症いたばしの会ポンテ」事務局・水野隆史さん(44)

「RUN伴2017inいたばし」のスタート前に笑顔を見せる水野隆史さん=板橋区役所前で

写真

 台風による雨に見舞われた今月十七日。板橋区で初めて、認知症患者がたすきをつなぐイベント「RUN伴(とも)2017inいたばし」を開催した。区役所から、介護施設「クローバーのさと」までの約四キロ。五十〜九十歳代の認知症患者十五人が、それぞれ三十〜七百メートルずつ、かっぱ姿で走ったり歩いた。

 中止も考えたが、ルートとなる商店街でチラシを配るなど、ともに準備してきた患者から「やりたい」と声が上がり、決行した。

 全ルートを患者さんらと走り、沿道の人の応援やイベントを伝える商店街の放送を耳にした。「認知症の人も同じ人間として、地域で暮らしていることを感じてもらえた」と実感した。

 参加した患者のうち八人は、六十四歳以下で発症した若年性認知症の人たち。区内にある地域包括支援センターに勤めていた二〇一五年に中心になって結成した「若年認知症いたばしの会ポンテ」のメンバーだ。

 当時、センターに来た四十歳代の若年性認知症の男性から「生活や仕事ができなくなり、居場所がない」と相談を受けた。働き盛りで発症すれば、家計が一気に苦しくなる。会員には、「稼げなくなって、家で肩身が狭い」など、共通の悩みもあった。

 会は、患者九人とその家族が交流し、主に医療や介護に従事するボランティア約三十人が支える。「三年ぶりに笑った」と話す患者もいる。「きれいごとに聞こえるかもしれないが、皆が同じ仲間なんです」

 患者のお漏らしや物忘れなどもあるが、ボランティアが、それぞれの特徴を覚えケアする。「働きたい」と願う元管理職の五十歳代男性患者がいた。真面目な性格だった。必死で探し出した高齢者施設の掃除などのパートを紹介すると、無事に定着できた。

 山口県の出身。中央大法学部時代にサークルで障害者と出会い「裏表がなくて大好きだな」と福祉に目覚めた。卒業後に慶応大看護医療学部に入り直した。病院で看護師として約九年勤務した経験もある。今は、埼玉県和光市で暮らして医療関係の仕事に就く。二人の子どもの父親でもある。

 「ポンテ」という会の名称は、イタリア語で「懸け橋」を意味する。患者と地域住民を結びたいという願いを込めた。「地域の人も年を取り、いつか病気になる。病気になった人が暮らしやすい地域を住民とつくっていくのが大きな目標」 (増井のぞみ)

<若年認知症いたばしの会ポンテ> 患者とその家族向けに2カ月に1回、お茶会を開く。月数回、患者とボランティアが集い、ボウリングやカラオケなどを楽しんでいる。就労や病気の相談も乗る。問い合わせは水野さん=電090(9315)6490=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報



ピックアップ
Recommended by