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【東京】

<東京NEWS2017>(5)JKビジネス 「性犯罪の温床」に包囲網

警視庁が実施した一斉補導で、捜査員から年齢などを確認されるJKビジネス店で働く少女ら=4月8日、都内で

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 今月、JR秋葉原駅に近い繁華街を歩くと、私服の少女らが寒さに震えながら、笑顔で男性客を誘っていた。以前は制服姿の少女らがあちこちにいたが、今はほとんど見かけない。声をかけてきた子が言う。「制服は着ない。条例で厳しくなっちゃったから」

 七月一日、女子高校生の接客を売りにした「JKビジネス」を規制する都条例が施行された。客にマッサージをする「リフレ」、カラオケなどに出掛ける「散歩」といった五つのサービスを対象に、十八歳未満を働かせることを禁止した。

 リフレ店で働いたことがある女子大学生に話を聴くと「友達から『一緒にやろう』と言われたから始めた」という。客と添い寝したり、抱き締められたりして報酬を手にする。見知らぬ男が相手で怖くないかと聞くと「別に」。あっさりした答えに驚いた。

 実情は犯罪と隣り合わせだった。条例ができる前、店は都内の繁華街に急増。少女らが高収入を得ようと「裏オプション」という性的なサービスをし、密室で客に暴力を振るわれるなど「性犯罪の温床」と問題視されるようになった。客が払う料金は店が回収し、裏オプをしなければ報酬を手にできない店もあった。

 インターネットで依頼を受けて少女らを派遣する無店舗型も増え、実態がますます分からなくなり、規制を求める声が強まった。条例で営業は届け出制となり、警視庁が店に立ち入ることもできるようになった。

 警視庁は十月末までに二十三店に立ち入り、十月中旬には、高校生と知りながら店で働かせたなどとして、二店を相次いで摘発した。都内のJKビジネス店は五月末現在、店舗型だけで百十店あったが、条例施行後の十月末に届け出があったのは三十六店に減った。

 警視庁幹部は、抑止効果を実感しつつ「少女に興味がある大人と、手っ取り早く稼ぎたいという少女は、いなくならない。仲介する存在のJKビジネスが減っても、舞台はネットに移る」と警戒。今後は援助交際に走る少女側を取り締まり対象にしようという、強い姿勢を見せる。

 「事情があって家に帰れず、働かざるを得ない子もいる。大人に守られていない子を言葉巧みに利用するのは、労働ではなく搾取だ」。若い女性らを支援するNPO法人「BOND(ボンド)プロジェクト」の橘ジュン代表が語る。条例違反を縛るだけでなく、少女らが危険に近づこうとする理由や背景に目を向けなければ、犯罪から守れないのでは…。条例は、大人ではなく、少女たちのためにある。 (神田要一)

 

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