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【東京】

<ひと ゆめ みらい>まちと人、つなぐ場を けやき出版社長・小崎奈央子さん

社員と「たまら・び」最新号について話す小崎奈央子さん(右)=立川市柴崎町のけやき出版で

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 多摩地域に密着した仕事を続ける立川市の小さな出版社「けやき出版」の社長に二〇一五年に就いた。地域情報誌や書籍の発行だけでなく、「会える編集部」としてイベントに出店するなど活動の幅を広げている。

 子どものころから本が好きで、大学では国文学を専攻。新卒で目黒区の中堅出版社に入社し、車雑誌の編集部に。運転免許証も持っていなかったが、車好きの同僚男性とは異なる視点を武器に「車内のインテリアDIY」といった企画を何十本も出すなど、深夜まで仕事に没頭。楽しく充実していたが、結婚、出産を機に一年ほどで退社した。

 子育て中も企業の受付からジュエリーアドバイザーまでさまざまな仕事をしてみたが「もう一度編集をやりたい」という思いが消えず、長男が小学生になると求人を探した。〇六年にけやき出版に入社し、書籍を担当。著者と一対一で向き合うのはやりがいがあり、本として世に出た作品はすべて「自分の子ども」と呼ぶほど愛着がある。

 出版業界が先細りする中「いくら実績があっても同じことを続けるだけでは後退する」と、地域に出てイベントなどに直接関わるような紙媒体以外の提案をすると、高齢で後継者を探していた前の社長から「次をやってみるか」と声を掛けられた。創業者の親族でもなく、社長就任は青天のへきれき。「学校で国語しかできなかった人間が、決算の数字を見て、経営しないといけなくなった」。ビジネス書を読みあさり、がむしゃらに勉強している。

 経営者として新しい事業に挑戦する中で、一四年から季刊の地域情報誌「たまら・び」の編集長をしていたことが大きな糧。毎号、多摩の一地域を取り上げるため、そこの在住、在勤者を集めて編集会議をし、町に足を運んで、地元の面白い人や店を紹介する。「地域の情報が、洪水のように一気に入ってきます」

 情報や人脈をつなげることで、仕事の幅が広がっていった。雑誌で紹介した多摩地域のものづくり職人を集めて、百貨店で催事を開催。取材相手から出店を誘われたイベントでは、地元クリエーターの紙雑貨なども売り、読者と交流した。

 「『まちと人をつなぐ』が社のコンセプト。もっと地域に踏み込んで、紙媒体でも、それ以外でも、みんながつながれる場をつくっていきたい。それが自分のまちを好きになるきっかけになればうれしいですね」 (林朋実)

<けやき出版> 1981年創業。社長を含め役員2人、従業員8人。一般書、地域情報誌の出版のほか、自費出版や社史、フリーペーパー製作も手掛ける。元日発売の「たまら・び」98号では武蔵野市を特集。問い合わせは電042(525)9909=へ。

 

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