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【東京】

<ひと ゆめ みらい> プロクライマー・野中生萌(みほう)さん(20)

ホールドをつかみながら登るプロクライマー野中生萌さん=北区で

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 拠点とする北区のクライミングジム。人工の岩山を軽やかに登ると、肩と背中の筋肉が浮き上がった。石の形をしたホールド(障害物)に手足を掛け、全身の力を使ってバランスを取りながら進む。「少しずつ登れるようになり成長を感じられるのが、スポーツクライミングの魅力」と語る。

 十六歳の時、登れた高さを競うリード種目の日本代表としてワールドカップ(W杯)に出場。スポーツクライミングは二〇二〇年の東京五輪で新種目に採用されており、昨年十月には五輪強化選手に選ばれた。

 昨年十一月に中国で開かれた国際大会のボルダリングで優勝、リード種目で七位、登る速さを競うスピード種目で六位に。「盛り上がりも注目度も違う東京五輪で金メダルを取りたい」。今は週三〜四回はジムに通い、一回に五時間「ひたすら登るだけ」で体を鍛えている。

 三人姉妹の末っ子。名前は草木がもえる五月生まれから。九歳の時、登山が趣味の父がトレーニングに採り入れたクライミングを家族で体験したことをきっかけに、ジムに通い始めた。

 幼い頃にクラシックバレエと器械体操で培った柔軟性に加え「自分ができないのが悔しい。相当負けず嫌い」と言う性格で力を付けた。豊島区立駒込中から日出高校(目黒区)のスポーツコースに進み、海外遠征と勉学を両立するため、高二の夏に通信制へ移った。

 高校卒業後、プロクライマーとして一年の半分を海外で過ごす。海外では、W杯など大会出場やトレーニングを重ねている。自宅は豊島区にあり、近くの巣鴨地蔵通り商店街を歩くと心安らぐ。「おじいちゃん、おばあちゃんでにぎわい、時間の流れがゆっくり」とほほ笑む。

 大会では、一瞬の判断で勝負が決まる。「努力を積み重ねても思ったようにいかず、悩み苦しんだ時もある」と明かす。そんな時は「(出すのは)右足じゃなくて左足」などと反省や他の選手の戦力グラフをノートいっぱいに書き連ねる。

 今月八日、豊島区の「成人の日のつどい」で、姉の黒い振り袖に身を包み、新成人の代表として誓いの言葉を述べた。「クライミングを通し、勇気や自信、希望を持ってもらえる人間になれるよう、これからも夢に向かい精いっぱい生きていきます」。そう言い終えると、晴れやかな笑顔を見せた。 (増井のぞみ)

 <スポーツクライミング> 2020年の東京五輪ではリード、ボルダリング、スピードの3種目の総合成績で順位を争う。リードは高さ12メートル以上の壁を登る到達高度、ボルダリングは高さ約5メートル以下の複数コースを登れた回数、スピードは高さ15メートルの壁であらかじめ周知されたルートを駆け登るタイムを競う。リードとスピードは安全確保のロープをつけるが、ボルダリングはつけない。

 

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