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【東京】

<東京人>写真の力 記憶が解凍される瞬間

(上)明治42年、ドイツ生まれのアメリカ人写真家Arnold・Gentheが撮った、男の子を背負う女の子のモノクロ写真(下)同じ写真をカラー化した写真

写真

 明治〜大正そして戦前戦後の歴史的なモノクロ写真を、人工知能によってカラー化した写真が会員制交流サイト(SNS)で話題です。発信するのは、首都大学東京准教授の渡辺英徳さん。AIによる色づけは、早稲田大学理工学術院の石川博教授、飯塚里志研究院助教、シモセラ・エドガー研究院助教らの研究グループが開発した技術です。

 東京人四月号特集「写真の力」では、渡辺さん、写真家のハービー・山口さん、写真が好きな小説家の柴崎友香さんの三人による座談会を行い、明治時代の姉弟、戦前の沖縄の女学生、呉のキノコ雲などの歴史的写真のほか、ハービーさんが撮られたモノクロ写真をカラー化した写真を見ていただきました。

 その内の一枚が、一九七〇年にハービーさんが撮影したある女の子の写真です。彼女の上着に、オレンジ色の糸で刺繍(ししゅう)された二人の名前を見つけた瞬間、ハービーさんは二十歳のころに彼女との間に起きた出来事を、堰(せき)を切ったように語りはじめました。この様子に柴崎さんが「他人の記憶の中にちょっと入れる」と感じられたように、モノクロ写真のカラー化は、過去の歴史や誰かの出来事が、自分の事のように地続きに感じられ、コミュニケーションツールにもなります。

 渡辺さんはこの現象を「記憶を解凍する」という言葉で表現されています。写真のカラー化が持つ「写真の力」だと思います。 (「東京人」副編集長・田中紀子)

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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、4月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

 

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