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【東京】

性教育で申し入れ 国際基準は「幼少期から」 都議の授業批判で識者

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 足立区の中学校で行われた授業を都議が「不適切な性教育」と批判したことについて、有識者らでつくる「“人間と性”教育研究協議会」は六日、都庁で記者会見し、教育現場が萎縮するなどと懸念を表明した。性教育の国際的な基準では、幼少期から正しい知識を教えることを推奨しており、識者は日本の現状を「遅れている」と指摘する。 (柏崎智子)

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は二〇〇九年、各国の研究成果を踏まえ、世界保健機関(WHO)などと協力して性教育の指針「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を発表した。日本では昨年、邦訳が出版された。

 五〜十八歳を四段階に分け、学習内容を提示。五〜八歳で受精など赤ちゃんが生まれる過程を知り、九〜十二歳で無防備な性交は意図しない妊娠や性感染症の危険があり、コンドームなどの正しい使用が有効と学ぶ。中学生は健康な妊娠や出産の知識、高校生は性的な接触には互いの同意が必ずいることの理解が重要としている。

 生殖だけでなく、家族内の男女平等や性の多様性、メディアが発信する性情報の問題なども幅広く扱い、性は恥ずかしいものや汚いものではなく、生きる上で大切な要素だと伝える。

 各国の研究では、性教育によって性交年齢が早まったとの傾向はなく、むしろ遅くさせ、慎重にさせる結果がみられたという。インターネットなどでゆがんだ性情報が氾濫し、子どもの性を狙う犯罪も後を絶たない中、「無知と誤った情報が生命を脅かす」と教育の重要性を強調している。

 一方、日本では文部科学省が学習指導要領で、中学校で「妊娠の経過(=性交)は取り扱わない」と縛っている。性行動が活発になる前に正しい知識を教えることが子どもの心身を守り、性感染症も防ぐという国際的な考え方とはずれがある。

 ガイダンス邦訳者の一人で、性教育に詳しい田代美江子・埼玉大教授は「日本では教えるといまだにバッシングが起こり、国際的な基準から遅れ、極めて深刻な状況。子どもたちが幸せに生きるため、性教育の基盤を整えるべきだ」と話す。

 

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