東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京 > 記事一覧 > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【東京】

<ひと ゆめ みらい> 01年から路上演劇祭を開く・すずきこーたさん

路上演劇の魅力を語るすずきこーたさん=世田谷区で

写真

 会社員や子ども連れの母親らが行き交う京王線千歳烏山駅近くの烏山区民センター(世田谷区南烏山六)前の広場。ここで二〇〇一年から、路上演劇祭を開き、自らも中南米の人たちと組んで出演する。

 会場の広場は商店街の目の前。照明も背景もなく、絶えず雑音がする。演者の前を堂々と横切っていく人がいる中で、足を止めてくれる人がいる。「それが面白くて。劇場には演劇が好きな人しか来ないけれど、開かれた空間が演劇を身近にしてくれる」

 区内出身。かつては「閉ざされた空間」で活動していた。父親は児童文学作家で、子ども番組の放送作家でもあった鈴木悦夫さん。俳優や芝居が身近な環境で育ち、一九八〇年代の小劇場ブームも肌で感じた。東京都立大(現在の首都大学東京)で数学を専攻しながら劇団に所属、卒業後は芝居の道に進んだ。「有名になることばかり考えていた」と当時を振り返る。

 作家や演出家のもと、俳優が演じることに「このまま芝居を続けていいのか」と息苦しさを感じるように。そんな時、世田谷パブリックシアターで参加した演劇のワークショップが視野を広げてくれた。意見を出し合いながら作品を作り上げる体験を通して「心が開放されていくのを感じた」。二十代後半の時だった。

 それからは、エンターテインメントとしてではなく、社会に目を向け、社会とつながる演劇を模索。現在は、学校での演劇指導やワークショップのファシリテーター(進行役)、その養成講座の講師として、全国を飛び回る。

 路上演劇祭の出演者は、子どもから大人までアマチュアが中心。地元の歴史を調べて作った劇から、障害者による電動車いすパフォーマンス、手品や詩の朗読まで、何でもあり。時には飛び込みも受ける。「思いや悩みを伝えるのが路上演劇」と考える。

 初回から毎年関わり続けるメンバーとしては、ただ一人となった。しかし、実行委員会が運営する形をとり続け、肩書は「特にない」。「トップダウンで顔色をうかがう今の政治に対するアンチテーゼ」と語る。

 たくさんの人に見に来てほしい一方で「そんなに知られていないところがちょうどいい」とも。演劇仲間が浜松市でも同様の催しを開いており、「ちっちゃな演劇祭が全国あちこちにあることがいい」と歓迎する。 (渡辺聖子)

<路上演劇祭Japan2018> 5月26、27の両日、世田谷区の烏山区民センター前広場で開催。26日は午前10時45分から午後7時半ごろまでに20団体が、27日は午前10時から午後3時ごろまでに12団体が出演予定。見物無料。ホームページは「路上演劇祭」で検索。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報