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【東京】

<変わる東京2020>新橋再開発(下) 新橋駅前ビル 

新橋駅前ビルに建てられたタヌキ像「開運狸」

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 新橋駅の汐留口に立つ「新橋駅前ビル」の前には、大人の背丈ほどの高さがある「開運狸(だぬき)」像がどっしり構えている。

 言い伝えによると、江戸時代の新橋はタヌキやキツネ、オオカミが出没するのどかな場所だった。明治時代、鉄道建設がスタートした際、建設作業員がタヌキの巣と三匹の子ダヌキを発見し、えさを与え小屋を作った。タヌキはどこかへ行ってしまったが、今度は人が小屋に集まり、酒を飲むようになったという。

 そんな新橋に戦後できた飲食街が「狸小路共栄会」。現在は1号館の二階に入る不動産会社「吉村商会」の川田圭子社長の祖父は狸小路の地主だった。川田さんは「狸小路には戦争で夫を亡くした女性が一人で切り盛りしている店もあった。その後、祖父を継いだ父はビル建設の際、狸小路の店が優先してビルに入れるよう世話をしたようだ」と語る。

 川田さんは今、新橋駅東口地区再開発協議会の副会長として、ビルの建て替えに協力を呼び掛けている。「日本的な雰囲気は外国人観光客にも人気。路地裏の隠れ家のような新橋らしさをどこかに残したい」

 一階の「明文堂」も狸小路時代から続く文房具店だ。前社長の長男の菖蒲努さん(54)は幼いころから父と一緒に店に来ていた。「当時は最先端のおしゃれなビルだった。受け付けの女性やエレベーターガールもいて遊んでもらった」

 一九六六年建設のビルと「ほぼ同年代」と笑う菖蒲さんは「年を取ればあちこちガタがくる。建て替えを検討する時期だ」。

 二階の「ビーフン東」はちまきとビーフンが名物だ。店主の東俊治さん(70)は再開発について「配管などの設備の老朽化が進み仕方ない」との意見。一方で「新しいビルになったら庶民的なスタイルを維持するのは難しいだろうね」。思いは複雑だ。

 地下一階は狭い間口の店が多く、横町の空気が漂う。「『レトロさが気に入った』と最近は若い子も飲みに来てくれる」。開業四十年の料理屋「かんざし」のおかみ石渡優織さんは、再開発については「計画通り進むのかしら…」と半信半疑だが「ビルがある間は営業を続けたい」と話す。 (瀬戸勝之)

 <新橋駅前ビル> 1、2号館がある区分所有ビルで地上9階、地下3〜4階建て。地上2階までの商業フロアには飲食店など約130店が入り、3〜9階にはオフィスなどが入居する。周辺地権者とともに2017年に再開発協議会を設立。周辺の1.9ヘクタールを再開発しホテルなどが入る37〜40階超の高層ビルを建てる構想がある。新橋駅開業150周年の22年に解体、23年の新ビル着工を目指す意見がある。

 

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