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【東京】

<ひと ゆめ みらい>競馬界から転身 立石熊野神社宮司・千島俊司さん(45)

「愛馬」のポニーを境内で飼育する千島俊司さん=葛飾区で

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 「四月から『お月見講話』を始めたのは、いろいろな方に神社に来てもらいたいという思いから」

 平安時代の陰陽師(おんみょうじ)、安倍晴明ゆかりの葛飾区の立石熊野神社の宮司を三年前から務めている。以前は「競馬の世界」に身を置いていた、異色の宮司だ。

 講話は毎月、満月の夜に開催。「誰かに話したくなる話」がコンセプトで、テーマは神道関係に限らず、星座や歴史など幅広い。

 一九七三年、札幌市で道営競馬(現ホッカイドウ競馬)の競馬一家の長男に生まれた。父の武司さんはトップジョッキーだったが、四年後、調教中に若駒に蹴られ、亡くなった。調教師の祖父一巳さんらの騎手になる期待を一身に背負った。いつも馬が周りにいて、なるものと思っていた。視力が徐々に悪くなり、中学二年の時に騎手を断念した。

 「競馬に携わりたい」という思いは消えず、高校では乗馬クラブに通った。九二年に高校を卒業し、日本中央競馬会(JRA)に、競走馬の育成などをする「馬乗り」として入った。

 馬事公苑(世田谷区)に勤務していた際に、馬術競技会で知り合ったのが、妻淳子さん(43)。神田明神(千代田区)と熊野神社の宮司を兼務していた大鳥居信史さん(78)の娘だった。

 競馬一筋だったが結婚後、単身赴任が長くなり、「家族と一緒に暮らしたい」という思いが増した。通信教育で神職資格を取ったことで神社を守っていく大切さを意識するようにもなり、二〇〇七年にJRAを退職、神職の道に転身した。

 競馬と神社は別世界に思えるが、「競馬は馬券だけでなく、馬が好きな人とかいろいろな人が来る。神社にも歴史ファンなどさまざまな人が訪れるので、似ているところがあり、慣れるのにそんなに苦労しなかった」と笑う。

 神職になってから、参拝する側だったころの目線を大切にしている。熊野神社では昨年、新月と満月の日の「夜詣(まい)り参拝」を始めた。天文に詳しかった安倍晴明ゆかりの取り組みを思案していたこともあったが、厳かな雰囲気の夜に祈願したいという参拝者の願いに、応えたのだ。

 講話は二回目を終えた。「参加者には喜んで帰ってもらえた。神社本来の役割と違うかもしれないが、今の方たちのニーズにあっているのかもしれない。気軽に来てもらい、心のよりどころになる、それが一番」 (飯田克志)

     ◇

 お月見講話は無料で午後6時半から。来年3月の講師はJRA時代のまな弟子の浜中俊騎手。併設する幼稚園の園児のためにポニー2頭を飼育。フィギュアスケートの羽生結弦選手が映画「陰陽師」の曲で舞った縁でファンの聖地にも。同神社=電03(3693)5623。

 

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