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【東京】

<ひと ゆめ みらい>新たな育て親 探します 植木の命、預かりつなぐ庭師・山下力人さん

預かった植木の状態を見る山下力人さん=八王子市で

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 丹精して育てた庭の木。引っ越しやリフォーム、改築など、さまざまな理由で伐採せざるを得ない。だけど思い入れもあり、切ってしまうのはかわいそう…。庭師として、そんな庭木などを預かり、育てたいという希望者に引き渡す取り組みに力を入れている。

 依頼者に思いを聞きながら植木の状況を確認、丁寧に掘り取って慎重に運搬し、木の形を整えるなどして保管する。インターネットなどで情報を発信し、引き取り手が現れるのを待つ。

 親戚に大工などが多く、幼いころから漠然と職人に憧れていた。小学生の頃にみたテレビ番組で、はんてんを羽織って仕事をする庭師を見た。「すごくかっこいい。将来は庭師になりたい」。高校時代に八王子市内の造園業者でアルバイトを始め、そのまま就職。三十歳で独立し、現在は造園会社「やましたグリーン」(八王子市下恩方町)代表を務める。

 植木の新たな育て親を探すようになったきっかけは六年ほど前。高さ二・五メートルほどのミツバツツジを伐採してほしいとの依頼があった。話を聞くうちに依頼主の女性が寂しそうな表情になり、「亡くなった主人が大切に育てていた木。伐採はかわいそうだけど、しょうがないわね」と涙を流した。このまま伐採するのも忍びない。「うちで育てますよ」と引き取った。

 その後も伐採を依頼してきた人にじっくり話を聞くと、子どもが生まれたり、嫁入りしたりした時の記念樹と分かることが続いた。同様に預かる提案をすると、一様に安心して喜んでくれた。「伐採しようかどうしようか、何カ月もずっと悩んでいた」「こんな活動をしている人がいるなんてうれしい」などの声が寄せられるという。

 引き受け手も増えてきているが、今は預かる方が多く、会社近くの元資材置き場で三百本ほどを抱える。始めた当初は、ここまで広がるとは思っていなかった。「みなさん、植物を命として、責任を持って大切に育てているんだな」と実感している。

 引き受けたい人が、実際に木を見てじっくり考えられる。引受先が決まっていなければ、預けた人は「あの木は今、どうしているかな」と気軽に会いに来られる。将来はそんな「植物園」をつくるのが夢だ。

 木を思う人たち、そして木の命をつなぐ役割を、これからも担っていく。 (萩原誠)

 庭木を預かってもらうには、人件費と運搬費がかかる。作業内容にもよるが、都内で職人一人で対応できる場合は3万円前後。距離に応じて費用も変わる。気に入った木を引き受けたいという場合も木の代金はかからず、運搬費と人件費のみ。問い合わせはやましたグリーン=フリーダイヤル0120(834)028=へ。

 

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