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【東京】

壁画で復活「浅草十二階」 「凌雲閣の記憶」後世に

3階建てビルの壁面を彩る凌雲閣の浮世絵=台東区で

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 明治から大正期にかけて日本で最も高い建築物だった凌雲閣(りょううんかく)が、台東区浅草二のビルの壁面に浮世絵として「復活」した。今年二月にこのビルの工事現場で遺構が出土し、事業主が記憶を伝えていく方法を検討していた。「浅草十二階」と称されたかつての下町のシンボルが再び街を彩る。 

 そびえ立つれんが造りの塔をシルクハットの紳士らが取り囲む。すごろくの要素を取り入れた楽しげな浮世絵が、三階建てのビル西側の壁面にあしらわれた。完成翌日の二十三日、通り掛かった観光客らが足を止めて見上げていた。

 都立中央図書館(港区)所蔵の「浅草公園凌雲閣登覽寿語六(とうらんすごろく)」をスキャンしてデータ化。約八倍の縦八メートル、横二・五メートルに引き伸ばして塩ビフィルムに印刷、壁面に貼り付けた。足元には出土したれんが十四個を並べた。

 基礎部分とみられるれんがなどが出土して以来、歴史ファンらが見物に訪れた。思わぬ反響に、事業主の合同会社「Yours(ユアーズ)」(港区)は現場に記念碑の設置を決めた。当初は銅板や模型をつくる計画だったが、設計士と相談するうちに「より目立って親しみが持てるように」と、「壁画」にした。

 浮世絵の選定に関わった区教委の文化財担当者によると、凌雲閣が描かれた浮世絵は数十枚残っている。中でも、見物客でにぎわい、明るい雰囲気が漂う一枚を選んだ。外国人観光客らにも紹介できるように、説明文には英語と中国語の訳も併記した。

 Yoursの田辺淳社長(37)は「ここに凌雲閣があったことを多くの人に知ってもらい、浅草の新たな観光スポットになれば」と話す。ビルではテナントの飲食店を募集している。 (加藤健太)

 

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