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【東京】

日本の精神医療の先駆者 呉秀三の業績紹介 きょうから中野で催し

呉秀三医師(岡田靖雄さん所蔵)

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 今から約百年前、精神障害者を自宅の一角に閉じ込める「私宅監置」が合法的に行われていた。精神科医の呉秀三(くれしゅうぞう)(一八六五〜一九三二年)がその実態を明らかにして今年で百年。呉の業績を紹介する催しが十一日から三日間、東京都生協連会館(中野区中央五)で開かれる。 (渡辺聖子)

 呉は広島藩医の家に生まれ、東京帝国大医科大(現在の東京大医学部)教授や東京府巣鴨病院(現在の都立松沢病院)院長を務めた。欧州留学から帰国後、手足を縛る拘束具の廃止などに取り組み、日本の精神医療の先駆者とされる。

 当時は精神障害者を自宅に閉じ込めておく、いわゆる「座敷牢(ろう)」が認められていた。呉は患者を病院で診られるよう、全国の実態を調べ、一九一八(大正七)年に論文にまとめた。

 十一日からの「私宅監置と日本の精神医療史展」は障害者の共同作業所でつくる「きょうされん」が企画。今年、日本精神衛生会と共同制作したドキュメンタリー映画「夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年」の上映、写真や拘束具などの資料展示、精神障害がある人たちによるトークセッションがある。

 私宅監置は五〇(昭和二十五)年に廃止された。しかし、近年も家族による障害者の自宅監禁事件が相次いで起きているほか、精神科病院での長期入院は社会問題となっている。

 きょうされんの藤井克徳専務理事は「現代の問題をどう打開するかを考える機会に」と期待する。展示資料を提供する愛知県立大の橋本明教授(精神医療史)は「歴史を知ってもらい、精神障害者への偏見解消に貢献できたら」と話す。入場無料。問い合わせは、きょうされん=電03(5385)2223=へ。

 

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