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【東京】

<あすへ つながるTokyo> (6)練馬に新しい形の共同住宅

「ウイズタイムハウス」を立ち上げた(左から)加藤木貢児さん、桜子さん、兼俊亮さん

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 所々に畑が広がる練馬区大泉学園町の住宅地に、新しい形の共同住宅「ウイズタイムハウス」ができて八カ月ほどがたつ。入居できるのは高齢の人、障害がある人、子育て中の人など、少しのサポートを受けたら暮らしやすくなる人。事務局の加藤木貢児(こうじ)さん(46)、妻桜子さん(38)、地域の仲間たちが「あったらいいな」というものを集めたら、既存の公的制度にはない住まいができた。

 きっかけは、東京電力福島第一原発事故で福島県楢葉町から都内へ避難を余儀なくされた兼俊文雄さん(87)とヨシ子さん(84)夫婦の住まいづくり。避難指示を受けて中野区内の都営住宅に入居したものの、二〇一五年九月に避難指示が解除されると、次に住むところが必要になったのだ。

 もともと兼俊さん夫婦は東京暮らしが長く、セカンドライフで十六年住んだ楢葉町には戻らないことを選んだ。練馬区に暮らす息子の亮(あきら)さん(60)は、会社勤めを定年退職したら「両親の見守りをしながら仕事をしたい」と考えていた。

 元盲学校教諭の貢児さん、高齢者福祉に問題意識を持ち区議になった桜子さん、障害者の作業所に長年勤務した人、バリアフリーに詳しい建築士など、福祉に関心を寄せる人たちが集まった。アイデアを出し合い、昔の下宿や寄宿舎のように、何かあったら手助けし合えるような住まいの形に行き着いた。

 二階建てのハウスは、エレベーターで上がれる二階部分が居住スペース。個室八室と、共用のトイレ、風呂、キッチンがある。廊下に手すりがあるなどバリアフリーにも配慮。介護などは外部サービスを利用することになるが、日中はスタッフが目を配る。

 兼俊さん夫婦は十畳の部屋で暮らしている。亮さんは自転車で十五分の距離に自宅があり、「一日一回は親のところに顔を出すことができる」と喜ぶ。ヨシ子さんは「良い距離で、ということですね」とほほ笑む。敬老の日には、ひ孫も含めて四世代がハウスに集った。これからも住み続けるつもりでいる。

 ハウスの一階には障害者が働く事業所「ウイズタイム」がある。亮さんが昨年七月の定年を機に立ち上げた。現在の利用者五人はハウス内の清掃を担っており、手作りのオリジナルチョコレートは、注文に追いつかないほどの人気になっている。

 一つ屋根の下で、さまざまな状況の人が暮らし、障害者が働くハウス。もう一つ目指すのが、「地域の人が気軽に来られる場所」。

 毎月第一日曜の午後にはイベントを開き、見学者を受け入れている。これまでにバザーやバーベキューなどを催した。事業所も毎週金曜と土曜にはカフェに仕立てて、ランチを提供している。

 加藤木さん夫婦は「昼ご飯を食べに来たり、生活の相談に乗ったり、入居者に対してやっていることを地域の方にも提供して、障害の有無や年齢にかかわらずつながっていきたい」と望む。 (渡辺聖子)

<ウイズタイムハウス> 同名の一般社団法人が運営。家賃8万1000円から(管理費、光熱費など含む)。入居には2日以上の体験入居(有料)が必要。事務局=電03(6670)7999。

スタッフらに見守られながら暮らす兼俊ヨシ子さん=いずれも練馬区で

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