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【東京】

<文京区と金沢市 ゆかりでつなぐ> (上)宝生流宗家・宝生和英さん(33)

宝生能楽堂で、親しみを込め「金沢は第二のふるさと」と話す宝生和英さん=文京区で

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 文京区は今年夏、北陸の古都・金沢市と友好交流都市協定を結ぶ。区内にあった加賀藩当主前田家の江戸上屋敷は現在、東京大本郷キャンパスとなり、赤門に名残を残している。こんな歴史や文化の縁をきっかけに、さまざまな分野で絆を深めていく。両区市ゆかりの人たちから、新たな関係への思いを聞いた。

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 能楽シテ方五流の一つの宝生流は、文京区本郷に本拠となる能楽堂を構える。二十代目宗家の宝生和英(かずふさ)さん(33)は「金沢はわれわれにとって第二のふるさと」と親しみを込めて語る。

 能楽は加賀藩祖で、戦国武将として有名な前田利家も好み、歴代藩主が手厚く保護してきた。江戸時代に五代将軍徳川綱吉が宝生流をひいきにしたことで、加賀藩も藩内の能楽を宝生流に統一、「加賀宝生」の礎が築かれた。庶民まで能楽に親しむ金沢は「謡(うたい)が空から降ってくる」と表現された。

 「心を静め、良い発想を生み出す」と能楽の作用を表現する和英さん。「神社仏閣、美術館のような芸能かもしれない」と、日常生活に溶け込む姿を追い求める。

 五歳で初舞台を踏み、東京芸大を卒業した二〇〇八年、二十二歳で宗家を継いだ。「子どものころ湯島は花街で料亭があった。学校帰りはお座敷前の稽古時間で、長屋からは三味線や尺八の音色、長唄が通りにまで聞こえてきた」。長屋の場所にはホテルやマンションが建ち、「静かな街になってしまった」と生まれ育った街の変貌を残念がる。

 「能楽を通じて、多くの人たちが交流することを期待している。金沢で『謡が降る街』を復活させればすごい」。文京区と金沢市の結び付きに期待を込めた。 (本安幸則)

<文京区と金沢市> 昨年8月、成沢広修(ひろのぶ)区長、山野之義(ゆきよし)市長が出席して、金沢市内で友好交流都市協定締結に向けた覚書に調印した。区によると、今年8月にも協定を結ぶ予定という。両区市は、いずれも徳田秋声や泉鏡花、室生犀星、竹久夢二らにゆかりがあるなど、歴史、文化的なつながりが深い。協定は、文化的な面だけでなく、経済、防災なども含めた協力、交流を含む。締結されれば、同様の包括的な結び付きは今年2月に友好都市として提携する予定の盛岡市に続き、文京区としては国内2例目となる。このほか災害時の応援など、個別案件で提携している自治体もある。海外とは、ドイツのカイザースラウテルン市と姉妹都市提携するなどしている。

 

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