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【東京】

沖縄の元ハンセン病患者「とみおばあ」へ追悼の詩 日野の村尾イミ子さん出版 

詩集「花忍の花蔭から」を出した村尾さん=日野市で

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 約四十年前から詩作を続ける日野市の村尾イミ子さん(80)は、夫婦でかつて住んでいた沖縄県・宮古島で交流していたハンセン病療養所の元女性患者「とみおばあ」についてつづった作品を収めた詩集「花忍(はなしのぶ)の花蔭(はなかげ)から」を出版した。おばあは出版準備中に亡くなり、作品は図らずも追悼の詩に。村尾さんは自身の経験から、元患者の苦しみは世間にはまだ十分に知られていないと感じており「詩を通じて伝えられれば」と願う。 (松村裕子)

 おばあを描いた詩の表題は「海が笑う」。十八歳で家族と縁を切られて療養所に入ったこと、一九九六年のらい予防法廃止で隔離政策が終わっても、家族は既になく家に戻れなかったこと…。本人に聞いた話から「老いてどこに行けば良いのか」と思いを代弁しつつ、悲しみや悔しさを乗り越えた姿を通じ「海が笑う日のあることが/どんなに慰めになったのだろう」と心象風景をつづっている。

 村尾さんは九七年、医師の夫が単身赴任で療養所に勤務していた宮古島に移住し、おばあと知り合った。夫が亡くなる二〇〇一年まで四年間暮らし、東京に戻ってからも時折、島を訪ね、おばあと交流を続けた。

 昨年十一月、百二歳で夏に亡くなったとの知らせを聞いた。「とても優しく、島外の人を含め誰でも受け入れてくれた。おしゃべり好きで、ふだんはつらい過去にはほとんど触れず、楽しい世間話をしていた」と村尾さん。これまでも二冊の詩集でハンセン病を取り上げたが「元患者の思いは、自分も島に行くまで知らなかった。長い間、虐げられた元患者が今もいることを知らせたい」と詩作を続ける。

 詩集はA5判百五ページで、近作も含め三十編を収めた。二千円(税別)。問い合わせは土曜美術社出版販売(新宿区)=電03(5229)0730=へ。

 

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