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【東京】

<文京区と金沢市 ゆかりでつなぐ> (中)徳田秋声記念館名誉館長・徳田章子さん (77)

徳田秋声記念館で、秋声の写真を背景に金沢との縁を語る章子さん=金沢市で

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 島崎藤村、田山花袋らと並び自然主義の代表的な作家として知られる徳田秋声(一八七二〜一九四三年)。孫の徳田章子さん(77)は、秋声が暮らした文京区本郷の邸宅に住み続けている。秋声の出身地の金沢市に二〇〇五年に開館した記念館の名誉館長でもあり、「金沢は、秋声を文豪として大切にしてくださる。人間が生きて積み重ねたものを大事にする街なのでしょう」と語る。

 上京した秋声は、尾崎紅葉の門下生となった後、区内の小石川で同門の作家と同居。手伝いに来ていた女性が後に妻となった。本郷に家を建て、庭には同郷の室生犀星が贈った竹が植えられた。

 この家と遺品を残そうと、章子さんの父の一穂さんが尽力。川端康成や菊池寛らの賛同も得て、一九六四年、都の史跡に指定された。年一度の一般公開日には書斎を開放、百人近くが訪れる。

 街並みが変貌する中、明治期の旧邸を個人で維持するのは大変だが、「ビルばかりだと味気ない」と章子さん。両区市の友好交流都市協定の締結に向け、昨夏に金沢市で開かれた覚書調印式にも同席した。

 「文京区も金沢市も、昔の人が生きてきた証しを次の世代に残してほしい」。秋声が生きた証しを守る者として、そう願っている。 (堀井聡子)

 

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