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【親子でぶらり 学べるスポット】

進駐軍の通訳務めた彫刻家 川村吾蔵記念館(長野県佐久市)

ホルスタイン乳牛や胸像など代表作が展示されている川村吾蔵記念館=長野県佐久市で

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 長野県佐久市には日本に2つしかない星形洋式城郭の「龍岡城五稜郭」(国史跡)がある。幕末の慶応3(1867)年に完成した五稜郭は、函館五稜郭と同様、フランスのヴォーバン元帥の考案といわれる星形稜堡(りょうほ)。明治の廃藩により建物の多くは取り壊されたが、お台所や石垣の堀が遺構として残されている。この五稜郭に隣接して整備された五稜郭公園の一角に、平成22年、郷土出身の彫刻家・川村吾蔵の記念館が建てられた。

 明治17年、長野県南佐久郡臼田村(現・佐久市臼田)出身の吾蔵は彫刻の勉強のため明治37年に渡米。明治42年には渡仏し、パリの国立美術学校(エコール・デ・ボザール)に入学、成績優秀のため特待生に選ばれた。

 この間、ロダンから助手の勧誘を受けたがこれを断り、米国人彫刻家マクモニスの助手になった。吾蔵はニューヨークで数々のモニュメント彫刻を完成させる一方、ミネソタ州の酪農家から理想的体形の乳牛像の制作を依頼され、大正11年に「完全なる乳牛模型」を完成させた。この作品は全米牧畜業大会で最高賞を受けた。

 第2次大戦の悪化などで昭和15年に帰国したが、「非国民」扱いされ、制作は一時中断した。戦後、GHQ(連合国軍総司令部)の出頭命令で進駐軍の通訳官を任され、アイケルバーガー中将ら進駐軍首脳の胸像を制作した。マッカーサー元帥からも胸像の依頼を受けるが、昭和25年に病死したため未完に終わった。この胸像は吾蔵の妻と娘がブロンズに鋳造して完成させ、同年の日展で入選を果たした。吾蔵はマッカーサーの信頼が厚かったといわれる。

 同館に展示されているマッカーサー像は穏やかな表情で来館者を迎えてくれる。(土田修)

◆ひとこと

 吾蔵はフランス国立美術学校で特待生となり、ロダンから助手を依頼されるほどだったが、帰国後は不遇の時代を送った。野口英世や島崎藤村らとも親交があった。

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 ★メモ 長野県佐久市田口3112。JR小海線臼田駅から徒歩約20分。観覧料一般300円、高校・大学生200円、小中学生100円。開館時間9〜17時。原則火曜日と年末年始休館。問い合わせ=(電)0267・81・5353

●足を延ばせば…

 ★龍岡城五稜郭 佐久市田口3000ほか。JR龍岡城駅、臼田駅徒歩約20分。星形稜堡をもつ洋式城郭で国史跡。新陣屋として、慶応3年に竣工(しゅんこう)。明治になって、城は取り壊されたが、堀と土塁、建物の一部「お台所」(見学には事前予約が必要=(電)0267・68・7321)は残されている。隣接の「五稜郭であいの館」で資料など展示。開館9時半〜16時。原則火曜休館。

 ★鎌倉彫記念館 佐久市下小田切8の6。JR臼田駅徒歩15分。佐久市出身の鎌倉彫伝統工芸士、木内翠岳氏(1915〜2008年)が昭和61年、地元に建設、寄付した。廻廊(かいろう)式の展示室には、大作「竹の讃歌(さんか)」をはじめ、約40点を展示。観覧料大人100円、小中高生50円。開館9〜17時。原則月曜と祝日の翌日休館。(電)0267・82・7095

 

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