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【親子でぶらり 学べるスポット】

吉村昭記念文学館(東京都荒川区) 歴史小説と文学に対する決意

吉村昭記念文学館の入り口=東京都荒川区で

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 都電荒川線「荒川二丁目」駅で下車すると、目の前にガラス張りの建物が見える。昨年3月に開館した「ゆいの森あらかわ」だ。図書館や「ゆいの森子どもひろば」「えほん館」などを備えた複合施設で、赤ちゃんから高齢者まで幅広く利用できる。この施設には「吉村昭記念文学館」が併設されている。

 日暮里に生まれた吉村昭(1927〜2006年)は、1966年に「星への旅」で太宰治賞を受賞し、長編ドキュメント「戦艦武蔵」を発表したことで作家の地歩を築いた。長崎造船所での建造からフィリピン・シブヤン海での沈没まで、世界最大級の巨艦を詳細な資料に基づく記録的手法で描いたこの作品はベストセラーになった。

 文学館では「零式戦闘機」「陸奥爆沈」「大本営が震えた日」など多くの戦記文学や歴史小説を残した吉村の万年筆や原稿用紙など、愛用品や自筆資料が展示されている。中でも書斎を再現したコーナーでは、机の前のイスに座ることができ、創作の場の雰囲気が体験できる。

 文学館の入り口には自筆ノートをデザインした懸垂幕に「文学はつきつめた戦ひです」という言葉が記されている。妻で作家の津村節子氏にあてた手紙の一節だ。この言葉からは吉村の歴史小説や文学に対する決意が感じ取られる。

 ゆいの森あらかわを出ると、すぐ近くにレンガ造りの建物がある。1922年に運用を開始した「旧三河島汚水処分場喞筒(ぽんぷ)場施設」だ。日本最初の近代下水処理場として歴史的価値が認められ、2007年に国の重要文化財に指定された。下水を地下の喞筒井から吸い上げるポンプが10台設置されるレンガ造りの「喞筒室」は、当時の技術の高さを彷彿(ほうふつ)とさせてくれる。日本の近代史を知る上で貴重な体験ができた。 (土田修)

◆ひとこと

 吉村昭は膨大な資料と客観的な分析と証言に基づいた記録文学を打ち立てた。“調査報道”にも相通じる厳密な筆致には鬼気迫るものがある。

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 ★メモ 東京都荒川区荒川2の50の1。開館9時30分〜20時30分。第3木曜・年末年始・特別整理期間など休館。入館無料。(電)03・3891・4349。

 旧三河島汚水処分場喞筒場施設は荒川区荒川8の25の1。沈砂池や喞筒井、暗渠(あんきょ)など見どころも多い。施設見学は火・金・年末年始を除く平日・土・日・祝日に予約で受け付けている。9〜17時。問い合わせは、三河島重要文化財見学受付=(電)03・6458・3940=へ。

●足を延ばせば…

 ★荒川自然公園 荒川区荒川8の25の3。都電荒川線荒川二丁目駅下車すぐ。三河島水再生センターの上に人工地盤を造って整備された公園で東京都を代表する景勝地。北側には、交通園や子ども用プール、南側には野草園や昆虫観察園などがある。白鳥の池もあり、家族連れで楽しめる。休園日は第1・3木曜日(祝日の場合はその翌日)。(電)03・3803・4042

 ★ぬりえ美術館 荒川区町屋4の11の8。都電荒川線町屋二丁目駅または東尾久三丁目駅徒歩7分。塗り絵専門の美術館。「きいちのぬりえ」で有名な画家・蔦谷喜一の作品のほか、海外の作品なども紹介。土・日・祝日のみ開館。開館12〜18時(3〜10月)。観覧料大人500円、小学生100円、未就学児無料。(電)03・3892・5391

 

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